調査会社のTrendForceが、日本が半導体産業での地位を回復しようとしている状況について詳述している。TrendForceによると、台湾は現在、全世界のファウンドリ(半導体製造)収益において65%の市場シェアを持っており、特にTSMCが56%を占めているが、近年の中国による台湾有事の可能性が、世界中の国々に半導体産業を自国で育成する動機を与えている。
日本もこの機会を逃さず、半導体産業での失われた40年を取り戻そうとしている。TrendForceは、日本国内で将来的に半導体のハブとなる可能性がある三つの地域を特定している:その地域とは、九州、東北、および北海道だ。
- 九州:九州は、TSMCの熊本工場(JASM)の登場により、急速に半導体の注目地となっている。すでにSonyや生ウエハー生産の巨人であるSUMCOが数年前からこの地域に進出しており、さらに、数多くの中小半導体関連企業がこの地域に進出しており、九州はまさに日本の “シリコンアイランド”となっている。JASMは、12nmから28nmまでの製造プロセスを取り入れた、この地域で最も先進的な半導体工場のひとつとなる。将来的には、顧客の需要に応じて、より高度なプロセスへの移行も視野に入れている。
また、Sonyの既存のCIS工場に隣接する戦略的な立地であり、SonyがJASMに出資していることを考慮すると、半導体製造とパッケージング・テスト技術における両社の協力関係を強化するシナジー効果が期待される。 - 東北:この地域は、ルネサス米沢工場やSUMCO、信越化学など、半導体の原材料生産のグローバルハブとなっている。東北大学は半導体材料研究の分野で高い評価を得ており、人材も豊富である。10月31日、PSMCは仙台に12インチウェーハ工場を建設する計画を正式に発表しており、東北が半導体産業で重要な地域であることを裏付けている。
- 北海道:国策新興半導体企業のRapidusが2nmの半導体技術で挑戦しており、その拠点として北海道を選んでいる。この動きは、上流の装置や材料サプライヤーを北海道に集める要因となり、半導体コミュニティ・ブームを巻き起こす可能性がある。また、千歳空港に近いことから、人材と資源のシームレスな流れも期待できる。これらによって、北海道も日本の半導体産業で重要な地域となる可能性があるだろう。
TrendForceは、経済産業省が民間セクターとの多面的な協力を促進していることから、半導体分野での日本の復活の可能性が高く、有利な為替政策が工場建設や投資を後押しし、輸出の未来は明るいとしている。ただし、半導体の専門家が不足している問題も指摘されており、そのために人材育成のための補助金プログラムも用意されている点を強調している。日本は、半導体の世界でかつての栄光を取り戻すべく、戦略的なポジショニングをとっていると、TrendForceは評している。
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