2020年、中国のチップ製造大手であるSemiconductor Manufacturing International(SMIC)は、世界の最先端チップの水準からすれば、数世代遅れており、その差は開く一方のようだ。DigiTimesが報じたところによると、中国のウェハー製造装置メーカーであるAdvanced Micro-Fabrication EquipmentのCEO Gerald Yin氏によると、中国半導体セクターに対する数回にわたる米国制裁の後、中国のチップ産業は少なくとも5世代遅れており、その差は拡大する可能性があるという。
過去2回の米国政権は、中国の半導体生産技術が世界的リーダー(米国のIntel、韓国のSamsung、台湾のTSMC)に追いつかないようにするため、半導体に焦点を当てた15の制裁措置を導入した。2020年当時、SMICはTSMCのN7やIntelの10nmに匹敵するロジックのトランジスタ密度を特徴とする7nmクラスの製造プロセスでチップ製造を開始しようとしていた。だが、当時のSMICは、N5(5nmクラス)ノードでのチップ生産開始に向けて準備を進めていたTSMCからすれば、既に数世代遅れていた。
そうした状況に加えて、2022年10月7日に米国政府が発動し、2023年には日本とオランダが続いた大規模な制裁措置により、中国の半導体産業は少なくとも10年は後退することになった。ウェハーファブツールメーカーは、14nm/16nmノード以下の非平面トランジスタを持つロジックチップ、128層以上の3D NAND、ハーフピッチ18nm以下のDRAMメモリーチップの製造に使用できる装置を中国企業に出荷するには、特別なライセンスを取得する必要があり、事実上の禁輸措置が講じられた。これは、中国の半導体産業を28nm以上のノードに制限するもので、自前でウェハー製造ツールを開発するか、輸出許可が下りない限り、両手両足を縛られた上で製造を続けなければならない。
この制限の影響は、中国の半導体業界において顕著である。中国半導体のフロントランナーであるSMICは、かつて14nmと12nmノードの進歩を声高に語っていた。しかし、2023年半ばには、同社のWebサイトやその他の公式コミュニケーションから、これらの技術に関する言及は消えてしまっている。だが、こうした現状にもかかわらず、一部の関係者は楽観的で、米国の障害は中国が国内の半導体装置の実力を強化する好機と見ている。
これが実現しなければ、政府の政策に変化がない限り、中国の半導体産業と世界のリーダー達との差はさらに広がる事だろう。
Sources
コメントを残す