AMDはついに待望の高密度サーバー用CPU「Bergamo」を発表した。密度を高めるために最適化されたZen 4cアーキテクチャに基づく新しいEPYC 97×4チップは、最大128個のCPUコアを提供し、AMDの現世代のフラッグシップEPYC 9004「Genoa」チップよりも32個多くのコアを提供する。
Bergamoに用いられるZen 4cコアは、AMDの通常のZen 4アーキテクチャと同じISAを使用し、両アーキテクチャの完全なISA互換性を実現するが、その機能をより高密度な設計で提供することになる。最終的に、AMDのメインラインであるZen 4 EPYCチップが性能と密度のバランスを取るように設計されているのに対し、このZen 4c EPYCチップは純粋に密度を重視しており、1つの物理的CPU上で実行できるvCPUの数を最大化しようとする市場向けに、利用できるCPUコアの総数を増加させる。
コア | スレッド | ベースクロック | 最大クロック | L3キャッシュ | PCIe | 対応メモリ | TDP(W) | 価格 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
9754 | 128 | 256 | 2250 | 3100 | 256MB | 128 x 5.0 | 12 x DDR5-4800 | 360 | $11,900 |
9754S | 128 | 128 | 2250 | 3100 | 256MB | 128 x 5.0 | 12 x DDR5-4800 | 360 | $10,200 |
9734 | 112 | 224 | 2200 | 3000 | 256MB | 128 x 5.0 | 12 x DDR5-4800 | 320 | $9,600 |
Zen 4cのアーキテクチャ自体に関する詳細はまだ不明だが、現時点では、AMDがCPUコアの密度を高めるためにいくつかの措置を講じたことが分かっている。これには、クロックスピードよりも密度を重視したアーキテクチャレイアウトの再設計(高クロックスピード回路は密度とトレードオフの関係にあり、その逆もまた然り)や、CPUコアあたりのキャッシュ量の削減が含まれる。また、AMDは、1つのCore Complex Die(CCD)により多くのCPUコアを詰め込んだ。Zen 4が1CCDあたり8コアだったのに対し、Zen 4cは1CCDあたり16コアになっている。つまり、Zen 4c EPYCチップは、オリジナルのZen 4チップよりも全体的にCCDの数が少なくなっているのだ。
このように密度が向上したとはいえ、Bergamoは、使用されているトランジスタの総数に関して、全体的に重いチップであることに変わりはない。フル装備のチップは、Genoaのフル装備のチップの約90Bトランジスタから、82Bトランジスタで構成されている。これは、Bergamoで利用できるCPUコアの数を考慮すると、チップの全トランジスタ数で償却した場合、Zen 4cの1コアはZen 4コアの約68%のトランジスタ数ということになる。実際には、CPUコアのレベルだけでは、これほどの節約にはならないと思われるが、AMDがCPUコア以外のものをすべて削減することで、いかに多くのトランジスタを節約できたかを示すものである。
一方、これらのチップはEPYC 9004シリーズのサブセットであるため、97×4 EPYCチップは、同じSP5ソケットを使用する9004ファミリーの残りのチップとソケット互換性がある。もちろん、このチップを使用するにはBIOSのアップデートが必要だが、サーバーベンダーはこのチップを既存の設計に組み入れることができる。
先に述べたように、EPUC 97×4ファミリーの主要市場はクラウドコンピューティング市場であり、AMDによれば、Zen 4cの「c」は「cloud」の略であるとも言われている。コア数が多く、クロックスピードがあまり高くないため、結果として得られるチップは、コア単位で見ると、Genoa設計よりもエネルギー効率が高くなる。AMDのターゲット市場にとって、電力は最も大きな継続的コストの1つであるため、これは非常に重要な検討事項だ。今日のプレゼンテーションの一部として、AMDはエネルギー効率の2.7倍向上をアピールしているが、この数字が何と比較してのものなのか、私たちには不明だ。
より高いコア密度と強化されたエネルギー効率により、AMDは特にこの分野でArmベースのライバルに対抗しようとしており、Ampere、AmazonなどはArmアーキテクチャのコアを使用して128(またはそれ以上)のコアを1つのチップに収めている。AMDはまた、2024年のSierra Forestまではいかないものの、最終的にはこの分野でIntelを撃退することになるだろう。
純粋な計算スループットに関しては、32個のCPUコアを追加することで、クロックスピードの低下を補って余りある性能を発揮するため、スペックシート上は96コアのGenoaチップよりもさらに高い性能を発揮する。とはいえ、サーバー用CPUのキャッシュやその他のサポートハードウェアは、他の方法で性能を向上させるので、実際のワークロードでは、性能計算がそれほど単純であることはほとんどない。それでも、半独立のスレッドをたくさん走らせる必要があるのであれば、Bergamoはその性能を発揮するかもしれない。
EPYC 97×4シリーズチップの詳細については、Zen 4cコア・アーキテクチャの詳細も含め、AMDが今後数日から数週間のうちに情報を公開する予定だ。
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