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Samsung、第2世代3nmプロセスの詳細を明らかにするが、TSMCに後れを取っている事も認める

6月11日から16日まで京都で開催される「2023 International VLSI Technology Symposium」。そのサミットで発表される内容の一部を公式が事前に公開している。

Samsungは、既に3nmプロセス(SF3E: 3nm gate-all-around early)のチップを昨年から量産しているが、既にSF3(3GAP)と呼ばれる第2世代の3nm級ノードの開発に取り組んでおりVLSI Symposiumにおいて、その詳細情報を公開する予定だ。

VLSI Symposiumでは、技術デモのほか、デモセッション、ジョイントフォーカスセッション、イブニングパネルディスカッション、ショートコース、ワークショップ、スペシャルフォーラムなどが予定されている。特に注目されるのは、Samsungの「新しいMBCFET技術による世界初のGAA 3nmプロセス(SF3)」など、CMOS技術に特化した最先端の論文だ。

Samsungの3nm技術が注目される理由は、FinFETからGate-All-Aroundトランジスタ・アーキテクチャへの移行を可能にするためである。SF3は4nmのFinFETプラットフォームSF4(4LPP、4nmクラス、ローパワープラス)と比較して、22%の周波数向上、34%のエネルギー効率向上、21%の面積削減(PPA)を達成したと言われている。

SamsungのSF3技術は、業界初の量産型GAAプロセスのアップグレード版である。マルチブリッジチャネルMBCFET(Multi-Bridge-Channel FET)設計を採用しており、様々なナノシート幅に対してかなり優れた性能を発揮することが出来る。一定の標準的なセル高さの下で、チップレベルでの消費電力性能マトリックスを大幅に改善し、それによってFinFETプラットフォームを凌駕するという。

とはいえ、Samsungが論文で示した画像には、メタルゲート工程でナノシートの上部が損傷している様子が描かれており、GAAベースのSF3E生産ノードで遭遇した生産上の課題も取り上げられると推測される。

samsung gaa vlsi symposium
(Credit: Samsung)

また、Samsungの半導体部門のトップは先週、同社の現在の量産型最先端プロセス技術が、TSMCの最先端生産ノードに2~3年遅れていることを認めた。そして、5年以内にTSMCに追いつくために懸命に努力しているようだ。

Samsungは2023年から2024年にかけて、SF3(3GAP)とその改良版であるSF3P(3GAP+)という3nmの生産に注力すると伝えられている。また、2025年から2026年にかけては、2nmクラスのノードの展開を開始する予定とのことだ。

Samsung Foundry Roadmap 2019 2027
(Credit: Samsung)

SamsungとTSMCの両社が3nmプロセスの時代に突入した後、3nmプロセスは今後ファウンドリ市場の主流となる。そのため、2025年には、3nmプロセス市場の生産額は255億米ドルに達し、5nmでの生産額193億米ドルを上回ると推定されている。

市場調査機関TrendForceのデータによると、2022年第3四半期、世界のファウンドリ市場では、TSMCが依然として53.4%のシェアを獲得して1位であり、2位のSamsungは16.4%のシェアに留まっている。したがって、市場の熾烈な競争の下、3nmプロセスも今後、両社の主戦場となる鍵となる。


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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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