米連邦取引委員会(FTC)は、Microsoftが計画している687億ドルでのActivision Blizzardの買収を阻止するため、反トラスト法違反で提訴した。
FTCは、この買収が1月に発表された直後から、この買収とビデオゲーム市場への潜在的な影響について調査を開始していた。FTCは、この買収が成立すれば、「Microsoftは、同社のゲーム機Xboxや、急速に成長している定額制コンテンツやクラウドゲーム事業に対する競争相手を抑圧することができるだろう」と指摘していた。
FTC競争局局長のHolly Vedova氏はプレスリリースで、「Microsoftはすでに、ゲームのライバルからコンテンツを差し控えることができ、またそうすることを示しました。今日、私たちは、Microsoftが独立系の大手ゲームスタジオを支配し、それを利用して、ダイナミックで急成長する複数のゲーム市場での競争に害を及ぼすことを阻止することを求めています」と述べている。
FTCの委員は党派を超えて賛成票を投じ、民主党の3人はこの訴訟を承認した。唯一の共和党委員であるChristine S. Wilson氏は、非公開の会合でこの訴訟に反対票を投じている。
「FTCは、Microsoftが、Bethesda Soft Worksの親会社であるZeniMaxを買収するなど、ライバル機との競争を抑制するために貴重なゲームコンテンツを買収し利用してきた実績を指摘します。Microsoftは、欧州反トラスト当局に対して、『ライバル機へのゲーム供給を差し控えるインセンティブはない』と断言したにもかかわらず、『Starfield』や『Redfall』などBethesdaのいくつかのタイトルをMicrosoft独占にすることを決定しました。」とFTCはプレスリリースで指摘している。
この訴訟が必ずしも取引を中止させるわけではないが、7月までに解決される可能性は低くなる。これは、MicrosoftとActivisionが設定した買収完了の期限である。それまでに買収が完了しなければ、両社は契約を再交渉するか、あるいは合併から手を引かなければならない。英国や欧州連合(3月下旬までに調査を終える)など、他の管轄区域の規制当局も、この買収を厳しく監視している。
Sonyは、この合併の最も有力な反対者である。Microsoftが『Call of Duty(CoD)』などのゲームをXboxプラットフォーム専用にすることで、Sonyが年間数億ドルの損害を被る可能性があると懸念を表明している。しかし、Microsoftは、CoDをPlayStationで提供し続けたいとしており、その旨の10年契約をSonyに提示したと主張している。
FTCの投票に先立ち、Microsoftは、合併が成立した場合、任天堂のハードにCoDのゲームを導入する契約を結んだと発表した。また、Valve社との別の協定により、CoDはSteamにも残る。
だが、Microsoftは、Activision Blizzardの買収に対するSonyの異議申し立てに不満を抱いていることが明らかになっている。「Sonyは最も大きな異議を唱える者として登場した。Block BusterがNetflixの台頭に興奮したように、この取引に興奮している。」とMicrosoftの社長Brad Smith氏は、最近The Wall Street Journalの論説で述べている。また、Microsoftは、英国の競争市場庁(CMA)の懸念を “見当違い”とし、規制当局が「消費者への潜在的被害を考慮せずにSonyの苦情を採用した」と非難している。
また、Microsoftは、Sonyが開発者にお金を払って、Xbox Game Passのサービスからコンテンツを排除していると非難しており、Sonyは、MicrosoftのActivision Blizzard買収が「開発者を苦しめ、価格上昇につながる」と主張し、泥仕合の様相を呈している。
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