Intel、120Gbpsを達成する次世代Thunderboltを初披露

masapoco
投稿日 2022年10月21日 14:22
Intel Next Gen Thunderbolt 1
Intel Next Gen Thunderbolt 1

DisplayPort 2.1の仕様が月曜日にVESAから正式に発表され、これに続きUSB-IFから80Gbpsでの双方向通信が可能となるUSB4 Version 2.0の仕様が発表されたが、それに続く形でIntelは、USB4 v2およびDisplayPort 2.1仕様に基づく次世代Thunderboltの初期プロトタイプのデモンストレーションを発表した。

USB4は、そもそもがその基礎となるThunderbolt 3仕様をIntelが開発し、USB プロモーターズグループに寄贈した経緯がある。これについては、賛否両論があるが、それはおいておこう。Type-Cコネクタのエコシステムを収束させることで、エンドユーザーの混乱を最小限に抑えるという目標は理論的に達成され、これについては賞賛に値するだろう。Intelのプレスリリースを深く掘り下げる前に、80Gbps USB4 v2の仕様発表について簡単に振り返っておく必要がある。

USB4 Version 2.0の概要

USB4 v2は、USB4で導入されたマルチプロトコルトンネリングアーキテクチャをベースに、同じポート/ピン配置とケーブル構造を維持したまま、利用可能な帯域幅を2倍に拡大した。これは、物理層の信号エンコーディングをPAM3に移行することで実現している。これにより、既存の40Gbps USB4ケーブルも80Gbps動作に対応することになる

USB4 v2の仕様では、DisplayPort 2.1信号と最大4つのPCIe 4.0レーンをトンネリングできるようになった。また、データおよびディスプレイプロトコルのアップデートにより、USBデータのトンネリングは20Gbpsを超えることが可能となり、より効率的な運用ができるようになっている。

DisplayPort 2.1トンネリングをサポートするための重要な更新の1つは、UHBR 20伝送モードでの4レーンの最大合計帯域幅に関するものだ。これは80Gbpsに相当し、送信側には他のプロトコルのための予備がないことになる。この問題を解決するため、USB4 v2では非対称リンクのコンセプトが導入された。一般にUSB4リンクでは、データの送受信に2つの結合高速差動信号ペアを使用し、対称的なケースでは40Gbpsの二重動作(40Gbps送信と40Gbps受信)を可能にする。しかし、レーンの初期化プロセスでは、オプションで、片側に送信機3台と受信機1台、反対側に受信機3台と送信機1台というリンク構成にすることができる。PAM3による高いデータレートと組み合わせることで、ホストは120Gbpsを送信し、受信帯域幅を40Gbpsに下げることが可能となる。送信側の帯域を他の用途(高速ストレージなど)のためにあまり犠牲にすることなく、高解像度ディスプレイを確実に駆動することができるのだ。

また、USB4 v2での更新に合わせて電力供給仕様も更新され、民生機器向けの新しいロゴガイドラインが発行されている。

次世代Thunderboltについて

Thunderboltは、ここ数年、驚異的な勢いを見せている。これは、主にIce Lake以降の量産型ノートブックプロセッサにThunderboltコントローラが統合されたことが要因だろう。データ、ビデオ、電源を1つのポート/ケーブルで転送できるため、さまざまなユースケースで威力を発揮する。特に、ハイブリッドワークやホットデスキング(ドックの後ろにモニターやネットワークなどを設置し、複数の従業員が異なる時間に Thunderbolt を搭載したシステムを接続できる)の人気が高まっていることも、ビジネス/オフィス空間での Thunderbolt 採用に拍車をかけている。ゲーマーやコンテンツ制作者は、I/O帯域幅を少しでも稼ごうとしており、Thunderboltはその渇望に応えてくれることだろう。

前述したように、次世代Thunderbolt は USB4 v2 仕様をベースとして、魅力的なオプション機能をすべて必須機能にしている。さらに、IntelがThunderboltをートブック用プロセッサに統合したことで、ホスト側での電力効率も向上している。Intel EvoおよびvProノートブックにThunderboltを必須とすることで、USB4 v2分野におけるIntelのリーダーシップはさらに強固なものとなる。

高帯域幅の周辺機器を使用しながら、最高帯域幅のDisplayPort 2.1ストリームをトンネリングできるダイナミック帯域リバランス機能は、次世代Thunderboltポートを搭載したシステムで確実に利用できるUSB4 v2の最もエキサイティングな機能の1つとなっている。

Intelのデモでは、ホストとデバイスの両方が実装されており、冒頭ではホストの構成が紹介された。ディスクリートGPUのDisplayPort出力がホストコントローラ基板に供給され、2本のType-Cケーブルが分岐し、1本は表向きはディスプレイへ、もう1本はSSDを装着したドック(デバイス)へ接続されている。

次世代Thunderboltポートの電力供給制限(Thunderbolt 3 / 4はデフォルトで最大15Wまでサポート)などは、近い将来明らかにされる予定だ。なお、Intelは、市場投入に関する情報を提供していない。

USB4 v2の仕様とIntelの次世代Thunderboltの説明を一通り見た限りでは、Thunderboltポートは今後もType-Cで全てをまかなうことになりそうだ。


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