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最大80Gbpsで双方向通信が可能な「USB4 Version 2.0」が正式に発表

本日、USB Implementers Forum(USB-IF)は、USB4 Version 2.0の仕様を発表した。この仕様では、80Gbpsの双方向帯域幅のオプションサポートと、最大120Gbpsのデータ送受信のオプション機能が追加されている。

複雑な規格が更に複雑に

USB-Cは紛らわしい規格だ。USB-Cポートまたはケーブルは、使用する仕様によってさまざまな速度、電力機能、その他の機能をサポートしている。現在、USB-Cは0.48Gbps(USB 2.0)から40Gbps(USB4、Thunderbolt 3、Thunderbolt 4)まで、さまざまなデータ転送レートをサポートしているが、新たなUSB4 Version 2.0の登場によって、事態はさらに混乱しそうだ。

2019年に発表されたUSB4は、Thunderbolt 3や4との相互互換を実現しながら、最大40Gbpsの接続に対応する規格だ。USB-IF は、9月に初めてUSB4 Version 2.0の発表を行ったが、新たなUSB4 Version 2.0では、PAM-3信号エンコーディングに基づく新しい物理層アーキテクチャ(PHY)によって、双方向で最大80Gbps(各レーン40Gbps、合計4レーン)のデータ転送速度をサポートする。さらに通信を非対称にし、片方向で最大120Gbps(他方向は40Gbps)となり、高解像度モニターに電力を供給することが可能だ。

USB4 Version 2.0の帯域幅を使用することで、この規格はDisplayPort 2.1と完全に互換性があり、圧縮の必要なく、最大240Hzで4Kディスプレイ、または最大60 Hzで10Kディスプレイを駆動させることができる。

USB4 Version 2.0は、既存のUSB4 40Gbpsパッシブケーブルと、新しいアクティブ80Gbpsケーブルの両方で動作させることができる。USB4 Version 2.0は、DisplayPort 2.1との互換性に加え、USB-IFによれば、PCIe 4.0と「密接に整合」しているとのことだ。

120Gbpsはオプション

加えてUSB-IFは、USB4 Version 2.0が、3レーンで最大120Gbpsのデータ転送レートをオプションでサポートすることを発表した。

USB-IFの発表によると、オプションとして、非常に高性能なUSB4ベースのディスプレイの駆動など、特定のアプリケーション向けに、USB Type-C信号インターフェースを非対称に構成し、一方向に最大120Gbpsを実現し、他方向には40Gbpsを保持することが可能とのことだ。

通常、120Gbps動作に対応したUSB4 Version 2.0ポートは、最初は80Gbpsでデータの送受信を行う。製品がポートに接続されると、「システムソフトウェアが管理するUSB4検出プロセスにより、好ましい動作モードが120Gbpsの構成であるかどうかが判断されます。最初は80Gbpsで接続した後、ポートは120Gbps動作に移行するのです」と、USB -IF 理事長兼 CEO のBrad Saunders(ブラッド・サンダース)氏はArs Technicaのインタビューで述べている。

新しい仕様では、120Gbpsでのデータの送信と受信の両方がサポートされているが、Saunders氏は、「最も可能性の高い」アプリケーションは、コンピュータから高性能モニタに120Gbpsでデータを送信し、40Gbpsレーンはシステムへのデータ送信に使用されることになるとしている。

新しいUSB-C仕様は、4Kを超える解像度、ゲーマーレベルのリフレッシュレート、HDRカラー、マルチモニターなど、極端なディスプレイニーズを持つセットアップに最適なスペックだろう。

また、新しいUSB4 Version 2.0の仕様には、従来の10Gbpsから20GbpsのUSB 3.2トンネリングがサポートされている。さらに、この新しいプロトコルは、VESAが昨日発表したDisplayPort 2.1仕様とPCIe 4.0をサポートしている。

USB-IFはCNETに対し、本日発表されたUSB4 Version 2.0仕様で、「少なくとも12〜18ヶ月は対応製品を見ることはできないだろう」と述べている。

しかし、それらの製品が登場しても、「USB4 Version 2.0」あるいはある種の「SuperSpeed USB」として消費者に紹介されないことをUSB-IFは望んでいる。12年が経過した今、USB-IFはもはやベンダーに “SuperSpeed USB 20Gbps”(例えばUSB 3.2 Gen 2×2と呼ばれる仕様の場合)といった用語を使うことを推奨しておらず、代わりに “USB 20Gbps”といった名称を用いることを提案している。

もしUSB-IFがその気になれば、新しいオープン規格を採用した製品は “USB 80Gbps “と表現されることになるだろう。しかし、最終的には、USB-IFはこれをコントロールすることができず、多くのベンダーがUSBの速度を記載せず、USB4バージョン2.0のような仕様名を使用しているのが現状だ。USB-IFの推奨ロゴは、速度と電力供給に重点を置いている。

また、USB-IFは本日、USB4 Version 2.0に対応するため、USB Type-C Cable and ConnectorとUSB Power Deliveryの仕様を更新した。

名称や潜在的な混乱に関する苦情はさておき、新しいUSB4バージョン2.0規格は、製品がより帯域幅を欲するようになり、USB-Cがより一般的になり、場所によってはコネクタが義務付けられるようになるにつれ、進化するニーズに適応する技術を提供する。

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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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