米国上院は2日、米国国内での半導体産業を支援するために750億ドル規模の補助金を拠出する法案を可決した。これによって、GlobalFoundries、Intel、Samsung Foundry、Texas Instruments、TSMCなど、米国に半導体製造施設を建設する企業の動きが加速することになりそうだ。
米国上院は、64対33の超党派投票で「Chips and Science」法案を承認した。この法案は、米国政府が米国のチップメーカーに約520億ドルの補助金やその他のインセンティブを与えることを認め、最大240億ドル相当の新しい工場に対して25%の投資税額控除を提供するものである。さらに、同法案は、米国内のさまざまな科学研究作品に今後5年間で1700億ドル以上を提供するとReutersは報じている。
上院がこの法案を通過させたことで、下院はそれを検討し、今週末に通過させる見込みである。その後、米国大統領に送られ、大統領はそれに署名し、法律が施行される。
この法案は、複数の新工場を建設することを支援し、米国の半導体産業を後押しすることを目的としている。これによって、米国内の企業への安定したチップ供給を保証し、米国経済に貢献する。さらに、この法案は米国の科学研究力を強化し、中国との競争において同国の長期的な成功を約束するものだ。
現在世界で使用されているロジックチップの大部分(売上高ベース)は米国に拠点を置く企業が開発しているが、米国に拠点を置くチップメーカーは世界のチップの12%しか生産していない。TSMC、GlobalFoundries、Samsung Foundry、UMCといった企業は、チップの大部分を米国外で製造している。TSMCが世界で最も複雑なチップ(米国企業が開発)を台湾で作っていることを念頭に置くと、米国との貿易戦争の最中にある中国からの供給にリスクがあることになる。今回の法案によって、米国国内に最先端のチップを始めとした工場の建設を後押しし、地政学的リスクの軽減に繋げる事も大きい。
CHIPS法は2021年に提案されたものの、上院は他の歳出プロジェクトと結びつけ、しばらくは審議拒否していた。しかし、ここ数週間、GlobalFoundriesとIntelの幹部は、「Chips and Science」法で認められた補助金がなければ、ニューヨークとオハイオに新しいファブを迅速に建設できないと米国政府と議員に警告していた。
米国上院が「Chips and Science」法案を承認した今、下院と大統領は迅速に行動し、できるだけ早く法制化することが期待されている。
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