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ZF社、世界一コンパクトなマグネットレスEV用モーターを開発

急成長する電気自動車(EV)業界では、マグネットレス電気モーターの開発がますます注目を集めている。これらのモーターは、従来の磁石を使用したモーターよりも効率的でコストパフォーマンスにも優れた設計となっており、生産コストの削減とEV全体の性能向上を目指す自動車メーカーにとって魅力的な選択肢となっている。

そんな中、自動車部品の製造を専門とするドイツのZF Friedrichshafenはこのたび、より高い効率性と持続可能性を提供する、スペース効率の高い新しいマグネットフリーモーターを発表した。

ZF社は、誘導トランスミッターをローター自体に組み込むことでこれを実現した。この設計により、永久磁石同期機(PSM)に匹敵する性能を提供することができるという。

同社によると、I2SM(ローター内誘導励磁同期電動機)のマグネット・フリー設計は、レアアース(希土類)元素の使用量を減らし、供給の安全性と持続可能性を高める事が出来るという。

現在のEVのほとんどはPSMと呼ばれるモーターを使用しており、その製造にはレアアース材料が必要である。一方、従来のマグネットレスシステムには、ローター巻線に電流を供給するために必要なスライディングリングやブラシなど、余分な物理部品がある。これは重量とサイズの増加につながり、摩擦による摩耗や破損のリスクも増える。

ZF社によると、このような個別励磁同期モータ(SSEM)の設計では、余分なシールがあり、油冷のためにアクセスできないドライな設置室が必要となる。そのため、一般的なSESMでは軸方向に90mmのスペースが必要となる。その結果、メーカーはモデルプランニングにおいて、PSMとSESMのバージョンを簡単に切り替えることが困難になるのだ。

ZF社の誘導型励磁装置は、I2SMのローターシャフト内に配置され、磁場のエネルギーを供給するため、コンパクトな設計が可能だ。コイルは磁界を発生させるために使用され、エネルギーは誘導的に、つまり機械的接触なしにローターに供給される。そのため、I2SMにはブラシ部品やスリップリングは不要です。さらに、乾燥状態を維持するためのシールも不要だ。このため、モーターは非常に小型で、高い出力密度とトルク密度を実現している。

I2SMはまた、小型でパワフルな設計でレアアース除去の利点に加え、従来のPSM電子モーターで生じるドラッグロスを除去する。この特性により、高速道路でのEV走行がより効率的になる。

「誘導型励磁装置は、従来のSESMシステムと比較して、ローターへのエネルギー伝達ロスを15%削減できる。さらに、レアアース鉱物を磁石に使用するPSM eモーターが特に悪化させるCO2排出量も、最大50%削減できる可能性があります」と、ZF社は声明で述べている。

磁石を使用しない設計を開発することで、ほとんどの資源が中国で採掘・加工されるため、中国への依存度を減らすことができる。様々な試算によると、中国は世界のレアアース供給量の90%以上を占めており、中国のEV自動車メーカーは従来のEVモーターメーカーよりも有利な立場にある。特に、中国による輸出規制など、地政学的リスクが絡むレアアースへの依存度を減らす試みは、多くの西側諸国にとって歓迎すべきだろう。

I2SMモータの将来については、ZF社によって生産が成熟するまで開発され、自社のe-driveプラットフォーム内の選択肢として利用できるようになる。その後、乗用車と商用車それぞれの用途に合わせて、400ボルト・アーキテクチャーのモデルと800ボルト・アーキテクチャーのモデルを選択できるようになる。後者のパワーエレクトロニクスは、炭化ケイ素チップに依存しているとのことだ。


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