今月初め、YouTubeは広告ブロッカーとの本格的な戦争を開始し、世界中で広告ブロッカーを使用しているユーザーのYouTube閲覧をブロックし、YouTube Premiumを利用するかブロッカーを解除するか選ぶように迫っている。だがこの同社の施策に対し、プライバシー・コンサルタントがヨーロッパにおいてYouTubeの行いは違法であると刑事告訴しており、一転YouTubeが窮地に追いやられる展開となっているようだ。これは、Metaも含む、市民を違法にスパイしていることを示唆する新たな苦情の一部でもある。
プライバシー・コンサルタントのAlexander Hanff氏は、広告ブロッカーを検出するJavaScriptコードを指摘し、YouTubeに対してアイルランドのデータ保護委員会に訴状を提出した。このコードによって、YouTubeはユーザーが有効にしている広告ブロッカーを検知し、無効にするまで動画の閲覧を停止することができる。また、広告に邪魔されずにコンテンツを見続けたい場合は、YouTube Premiumに加入することもできる。同プラットフォームの利用規約によると、広告をブロックすることは許可されておらず、ストリーミングが禁止される可能性がある。
Hanff氏はInstagramとFacebookを運営するMetaに対しても同様の訴えを起こしている。申し立てでは、Metaが明示的な同意なしに個人データを収集することはアイルランド法に違反していると主張している。具体的には、Hanff氏はMetaが少なくとも5年間、行動ターゲティング広告のために情報を利用していると考えている。同社は、監視技術を使ってユーザーの行動を追跡し、そのデータを使って自社のプラットフォームのユーザーに合わせた広告を出すことができる状態にあったと非難されている。
EUがビッグテックに対するプライバシーとセキュリティの規制を強化し続ける中、企業はこれに準拠し、罰則を回避するために変更を加えている。例えば、Googleは2023年の初めに、広告主が消費者をターゲットにする方法についてより多くの詳細を提供するために、広告透明性センターを拡張した。この情報では、広告主がどのように広告表示を選択し、いつ広告を掲載するのかが説明されている。同社はまた、Googleがどのように独自の安全ポリシーを策定し、実施しているかを一般ユーザーが知ることができる別の透明性センターも設けた。今後もGoogleは、規制を確実に遵守するために欧州委員会と協力していく意向を表明している。
Hanff氏の刑事告訴の結果はまだわからないが、GoogleやMeta、その他の業界リーダーに対する告訴の最初のものとなるかもしれない。市場競争に対する議員たちの懸念の高まりと、個人データの保護を求める一般大衆の声を受けて、これらの企業の既存の慣行は今後も精査され続けるだろう。規制が強化されれば、これらのハイテク大手はそれに従わざるを得なくなるだろう。
Source
- The Register: Meta, YouTube face criminal spying complaints in Ireland
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