スマートフォンのカメラは、その物理的な制約から光学的な進歩が最近は足踏み状態だが、代わりにAIによる様々なトリックが取り入れられている。例えば、Google Pixelの顔を入れ替えて、存在しなかった最高の場面を作り出す「ベストテイク」などは便利な反面、最早それは果たして従来の意味での「写真」と呼べるものなのかという意見もある。
最近Galaxy S24シリーズを発表し、ここでもAI機能を前面に押し出していたSamsung幹部の意見はこうだ「本物の写真というものは存在しない」。
Galaxy S24シリーズに搭載される予定の「ジェネレーティブ・エディット(Generative Edit)」は、完璧な写真を目指して、画像の一部を人工的に消去、再コンポーズ、リマスターすることができる。こうして生成された写真は、最早現実を切り取ったものではないだろう。では写真とは何なのか?
SamsungのEVP Patrick Chomet氏は、TechRadarにこう語った:
昨年、月の写真についてMarques Brownlee氏によるとても素晴らしいビデオがありました。誰もが『フェイクなのか?偽物ではないのか?』という議論がありました。そして実際、本物の写真というものは存在しません。何かを捉えるセンサーがあれば、すぐに(見ているものを)再現してしまう。本当の絵などないのです。AIを使ってズームやオートフォーカス、シーンを最適化した場合、それは本物の写真なのでしょうか?それともすべてフィルターなのか?本当の写真など存在しないのです。
「本当の写真など存在しない」という考え方は、一部の写真家にとっては受け入れがたい発言だろう。だが、既にApple、Google、Samsungのような企業が販売する最新のスマートフォンでは、画像を生成するために、複数のカメラで複数のフレームを組み合わせるようになってきている。これは、PixelスマートフォンやGalaxyなどがセンセーショナルに発表した、“余計なものを消す”様な機能とは異なるが、だが”AI”によって実現している機能という面では同じものとも言える。
Samsungの戦略は、消費者が求めていると判断した2つのものを提供することだという。”瞬間”を捉える方法と、”新しい現実”を作り出す方法だ。そのどちらを選ぶかは、ユーザー自身なのだ。
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