英国の電子機器メーカーJiva Materialsが、世界初の完全リサイクル可能なプリント基板(PCB)を開発した。広く採用されれば、電子廃棄物業界に革命をもたらす可能性があるもので、既に少なくとも1社の大手企業が参加を表明している。
Infineon は最近、植物由来の天然繊維で構成された生分解性プリント基板、Jiva MaterialsのSoluboardを採用すると発表した。リサイクル業者は、一度廃棄したPCBをシュレッダーにかけて燃やす代わりに、30分間温水(90℃)に浸すことができる。この熱水によってPCB繊維が分解され、固形チップやその他の部品が残るのだ。
万が一、Soluboardが隙間に入り込み、他の電子機器と一緒になっても、通常のPCBと同じように燃える、と同社は述べている。
30分の高温浸漬が必要ということで、スマートフォンにジュースをこぼしたり、浴槽に沈めてしまっただけでは分解はされないので、その点は心配ご無用だ。Jiva社はまた、高湿度環境にも耐えられるようSoluboardを設計しているという。
それでも、液体を電子機器に混ぜるという発想には否定的な感情もある。また、悪質なハードウェア・メーカーがこの技術を計画的陳腐化に利用し、消費者に一定期間後に新しいデバイスへのアップグレードを強制するのではないかとの懸念も表明されている。
昨年、MicrosoftはSoluboard PCBを使って生分解性コンピュータ・マウスを開発した。テスト工程の一環として、回路基板を水に溶かした。メインチップは回収され、オーブンで焼かれて水分が取り除かれ、性能低下の兆候もなく再利用された。Microsoftは、この設計により、従来のマウスに比べて環境への二酸化炭素排出量を60.2%削減できたと結論づけた。
興味深いことに、Microsoftによれば、この回路は摂氏100度でわずか5.5分、摂氏20度の水中では5時間で溶解するという。これは、Jiva Materialsの共同設立者であるJonathan Swanston氏がThe Registerに語った90℃とは異なるが、おそらくMicrosoftは特性の異なる組成物を使用していたのだろう。
Swanston氏は、Soluboardが将来的には回路基板設計の大部分に使用される可能性があると信じていると、The Registerに述べている。
Sources
- Jiva Materials: The World’s First Fully Recyclable PCB Substrate.
- vai The Register: Infineon to offer recyclable circuit boards that dissolve in water
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