中国がUAEの企業を通じて最高クラスのAIチップにアクセス出来る可能性があるとして米国政府が調査

masapoco
投稿日 2023年11月30日 9:14
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アメリカ合衆国政府は、アラブ首長国連邦(UAE)に拠点を置く多国籍コングロマリットG42が、米国が安全保障上の脅威と見なしている中国Huaweiと繋がりがあり、中国に先端技術や数百万人に関連する遺伝子データを提供しているのではないかの懸念を抱いている事が、The New York Times紙によって報じられている。

G42は、UAEのSheikh Tahnoon bin Zayed氏によって監督されている企業で、最近CerebrasからCS-2ハードウェアを使用して、AIに特化した巨大なパフォーマンスを持つAIスーパーコンピューターネットワークを構築している。Cerebrasは、合計9億ドルの費用でG42のために合計9つの施設を建設することを計画している。同社は最近、NVIDIAがAIおよびHPC GPUを「中国企業に武器を供給している」と批判していた事でも記憶に新しいだろう。

CerebrasのWSE-2プロセッサは、市場に出された中で最大のAI向けチップで、2.6兆個のトランジスタと85万個のAI最適化コアを1枚のウェハーサイズの7nmプロセッサ上に集積されており、CS-2システムに搭載されている。G42は、CerebrasのCS-2システムを基にしたAI用のいくつかのCondor Galaxy 1(CG-1)スーパーコンピューターを構築している。カリフォルニア州サンタクララにあるCG-1スーパーコンピューターは、最大6,000億パラメーターの大規模言語モデルに対して4FP16エクサフロップスの性能を提供し、最大100兆パラメーターモデルをサポートするための拡張機能も備えている。

アメリカ政府にとって最も懸念されるのは、CG-1がアメリカ国内に位置しているにもかかわらず、これがCerebrasハードウェアを基にした3つのAIスーパーコンピューター(CG-1、CG-2、CG-3)の最初のものに過ぎないことだ。一方で、G42とCerebrasは、世界中に6つの4エクサフロップのCondor Galaxyスーパーコンピューターを立ち上げる計画を進めており、これがアメリカの疑念の原因となっている。G42の拡大は、AstraZeneca とのパートナーシップやCerebrasとの1億ドルのコラボレーションを含む顕著な合意によって特徴づけられているが、CIAの機密報告書は異なる状況を示唆している。

CIAの懸念の中には、G42が中国の利益のための代理となり、アメリカのAIコンピューティングリソースやその他の機密技術を合法的に入手できない中国に提供する可能性があることが含まれている。10月にアメリカ商務省が発表した輸出制限により、ほとんどのアメリカ製高性能GPUやAIアクセラレータの中国への販売が禁止され、低性能や消費者向けカード(例えばNVIDIA RTX 4090やL4)の販売にはライセンスが必要とされた。

そもそも、CerebrasのCEOであるAndrew Feldman氏は以前NVIDIAを「恥ずかしい」と評し、AIの武器商人にすら例えていた。「NVIDIAは一人で中国に武器を供給したと思う。中国のAI能力について考えると… NVIDIAは彼らに膨大な量のNVIDIA GPUを提供した。それ以外の見方はない。それは合法だったが、それが道徳的な責任を負わないという意味ではない」と彼は述べた。

インタビューで、Feldman氏はまた、中国でのビジネスを行わないという彼の決定を強調した。だが、G42の中国との関連が疑わしいこと、およびG42がNVIDIA GPUをシステムに使用していることを考えると事態は複雑だ。実際の所、Feldman氏は今回のNYTの報道前にG42と中国の懸念については知らなかったとされている。

CerebrasのThe Registerへの声明の中で、同社は「Cerebrasは常にアメリカの最善の利益に従って行動する。Cerebrasは憶測についてコメントしない」と述べ、G42との関係や中国への技術流出への可能性については言及しなかった。

G42の最高経営責任者(CEO)であるPeng Xiao氏は、アメリカの調査の焦点となっているが、CIAの文書におけるXiao氏に関する結論は不明である。アメリカ政府はUAEの当局者と議論を行い、G42に中国企業との関係を遠ざけるよう促している。アメリカは、G42が中国の脅威者との関連を続ける場合、同社に対して制裁を科す可能性さえ示唆している。

これらのマシンがアメリカ国外に物理的に位置し、強力なパフォーマンスを提供するため、CIAは、これらが中国の脅威者のための大規模言語モデルのトレーニングに使用される可能性があると考えている。その結果、G42は現在、アメリカと中国の間の対立の最前線に立っているとも言えるだろう。もちろん、G42はUAEの経済を石油以外に多様化する戦略においても重要な役割を果たしている。UAEは中国やロシアとの関係を強化し、アメリカへの依存を減らしているからだ。

G42は、中国とのパートナーシップやアメリカの懸念についてThe New York Times紙から求められたコメントを拒否した。しかし、G42の上級幹部であるTalal Al Kaissi氏は、同社のグローバルな技術協力について言及し、Microsoftとの協議やCerebrasとの作業について言及した。Al Kaissi氏は、G42がアメリカの規制を遵守すること、アメリカの機関との継続的な協議、および責任あるAI開発に沿った価値観を持つ企業とのパートナーシップに対する同社のコミットメントを強調した。


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