米国企業は中国への継続する制裁措置の下、中国への先端半導体製品の輸出を禁じられている。特に大きな影響を受けているNVIDIAは、同社のハイエンドAIアクセラレーターの出荷が許可されていないほか、同社のRTX 4090ゲーミングGPUも制裁品目に追加されている。米国企業は様々な回避策を通じて、何とかして中国へ自社製品を届けようと工夫を凝らしているが、米国政府は、中国がAI開発に使用される可能性のあるものを取得することを望んでいない。そして今回、中国市場向けに「回避策」を施したチップ開発を繰り返すNVIDIAに直接警告を発している。
Gina Raimondo米商務長官は最近の国防フォーラムにおいて、NVIDIAを直接名指しする事はなかったが、もし企業が米国の制裁に準拠するために既存の製品を作り直した場合、その新製品も精査を受けることになると述べ、それがすぐに禁止されることを示唆した事がFortune誌によって報じられている。
「AIを可能にする特定のカットラインを中心にチップを再設計した場合、私はその翌日にそれを規制するつもりだ」とRaimondo長官は述べている。
この発言は、米国の制裁ギリギリまで禁止製品の新バージョンを開発してきたNVIDIAに直接向けらたものだろう。NVIDIAはこの事実を隠しておらず、同社のCEOは最近、規制に準拠した製品を設計し、その製品で中国と取引するとさえ述べている。
標準的なRTX 4090は10月に中国への輸出が禁止された。そのため、同社は制裁をかいくぐるために、スペックを下げた中国向けの新バージョンを開発した事が明らかになっている。Xでのリークに基づきいくつか報じられたこの「RTX 4090D」カードは、オリジナルのカードのAD102-300と比較して意図的に性能を落とし、ギリギリ制裁を回避するAD102-250と名付けられた新しいダイを使用している。このGPUについては、存在するという噂以外に公式な情報はまだないが、NVIDIAが既存の製品をコンプライアンスに適合するように作り直すという過去の事例からももっともな動きだろう。
過去のいたちごっこを振り返って見ると、米国は昨年8月にNVIDIAのAIアクセラレータH100とA100(HopperとAmpere)の使用禁止を発表した。それを受けてNVIDIAは11月までに、A800/H800と名付けられた中国向けに販売する新製品を開発した。A800アクセラレーターは、禁止されたA100とまったく同じものだが、NVLinkインターコネクトが600GB/秒から400GB/秒に減速されている。これらのチップはその後、12月に禁止されたている。
もちろん、米国商務長官は、米国企業の利益のために、上記のような制裁がないことを望んでいる。しかし、同長官は「中国の脅威については目を見開いている」と述べた。彼女はハイテク企業に対し、「あなた方のビジネスが強力で世界をリードするように、また、我々の国家安全保障が守られるように協力してほしい」と訴えた。
今後、米政府高官が台湾を訪れ、主に中国を対象とした先端技術規制の詳細について説明する予定だという。Reutersによると、台湾のWang Mei-hua経済相は、民主的な統治下にある台湾の多くの重要なハイテク企業に対し、複雑な米国の新ルールを説明する使節団を迎える予定だという。
米国当局者は、来月訪問し、新竹と台南の重要なチップハブ周辺にその努力を集中させる予定とのことだ。
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