NPRが金曜日に発表した記事によると、サンディエゴ郡水道局は、太陽光で発電されたエネルギーをサン・ビセンテ貯水池を利用した「水電池」によって貯蔵し、地域のクリーンエネルギーを実現することを計画しているとのことだ。
130,000世帯に電力を供給
基本的な仕組みとしてはこうだ。
サン・ビセンテの湖から、300メートル高いところに新たな貯水池を建設する。この二カ所は、地下の大きなパイプでつながれる。そして太陽が出ているうちに、太陽光発電によって生じた電力を使い上部の貯水池に水を汲み上げておく。
太陽光発電が使えない夜間には、今度は貯水池に貯められた水を使って、水力発電により発電するのだ。計算上は、13万世帯分の電力に相当する500メガワットの発電が可能なタービンを最大8時間駆動させられるという。
「まさに“水電池”です!」。水道局のエンジニアリング担当副局長、ニーナ・クズミッチ(Neena Kuzmich)氏はNPRにそう語った。エネルギーシステムが自然エネルギーに切り替わるにつれ、より一般的になっていくであろう電池の一種といえる。
カリフォルニアは太陽光発電が盛んだが、日中(特に熱波が襲っているような時期)は、需要が供給を大幅に上回り、せっかく発電された電力も廃棄することが多いそうだ。特に、今年の猛暑では2,000メガワット以上(50万世帯以上)もの電力が廃棄されたという。この無駄になる電力を蓄えられないかと、様々な蓄電技術が試されているという。
この技術自体は、揚水発電と呼ばれるもので、日本でも多くのダムで導入が行われているものだ。アメリカでは、太陽光発電の日中の余剰電力の貯蔵先として、今改めて見直されてきているとのことだ。
全米水力発電協会のマルコム・ウルフ(Malcolm Woolf)会長兼CEOは、「ここ数年で、92の新しいプロジェクトが開発パイプラインに入っている」と語る。しかし、そのほとんどは計画段階である。
以前からある揚水発電に比べて、サンディエゴで用いられた技術はより効率的で、建設地の自然環境を乱すことがないように進化している。ウルフ氏は、揚水発電施設は前世紀のものほど巨大である必要はなく、自由に流れる小川や河川を乱す必要もないと言う。
過去にダムによる環境破壊を警告してきた環境保護団体アメリカン・リバーズ(American Rivers)の水力発電改革担当ディレクター、ケリー・キャットレット(Kelly Catlett)氏も、「良い揚水発電プロジェクトはある」と言い、サンディエゴのものはそのひとつに見えると述べている。
サンディエゴ郡水道局の理事会とサンディエゴ市議会は、サン・ビセンテ貯水池での揚水発電の詳細な工学設計を進めるかどうか、近く投票する見通しだ。カリフォルニア州は1,800万ドルを負担するが、この設計に続き、規制当局の承認、資金調達、実際の建設には10年以上かかると見られている。
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