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先日、“室温”かつ実用的な“室圧付近”で超伝導の特性を示した物質の生成に成功した事が、ロチェスター大学の研究者らによって報告されたが、早速この研究に対して疑問が呈されている。

北京分子科学国家実験室、米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、シカゴ大学等の研究者らは、木曜日にプレプリントサーバーarXivに投稿した論文の中で、ロチェスター大学が発見した室温超伝導体に関する中国が主導した追試では、摂氏-203度(華氏-333度)でしか、超伝導が達成できなかったと報告している。更に、その状態に到達するためには、研究チームが報告していた圧力よりも遥かに強力な、218ギガパスカルの圧力が必要であった事も合わせて述べている。これは、ロチェスター大学の研究チームが、21℃、1ギガパスカルという実用に適した圧力と温度で超伝導体の結晶を作ることができたと報告された翌日に発表されたものだ。

「Nature誌の論文の予備テストでは、中国と米国の研究者は明らかに結果を再現することさえできなかった」と、北京在住の物理学者は、South China Morning Postに語っている。

科学者たちは、特定の条件下で電気抵抗がほぼゼロになる物質(超伝導として知られる状態)を長い間求めてきた。抵抗なしに電気を送ることができれば、送電網、コンピューターチップ、高速鉄道、医療用画像診断の効率に革命をもたらす可能性がある。その衝撃は、産業革命を遥かに超える大きな物になるだろう。

研究者たちは、水素とさまざまな希土類元素を混ぜて、比較的高温の超伝導体を合成することを試みてきた。しかし、ルテチウムを使った成功例はなかったと、名前を伏せた物理学者はSouth China Morning Postに語っている。「希土類水素化物(二元系化合物)が超伝導に達するために必要な圧力は、通常200ギガパスカル以上だ」

北京の中国科学院物理学研究所のLuo Huiqian氏は、どちらの実験にも参加していないが、「米国の結果を再現しようとする動きが活発化するだろう」と、述べている。

ロチェスター大学の発表によれば、この室温超伝導体の生成に必要な圧力はわずか1ギガパスカルなので、「世界中の多くの研究室が、かなり早く、あるいは数週間以内に、この実験を再現しようとするだろう」と、Luo氏は述べている。

ロチェスター大学チームは、自分たちの材料の調製過程や具体的な組成について、「知的財産権」を理由に詳細を明らかにしていないが、「さまざまな可能性のある構造を計算し、それをテストにかけることは出来る」と、Luo氏は指摘する。これは、同じチームによる2020年の論文で、研究者たちが極少量の炭素、硫黄、水素を使って室温超伝導を実現したと報告された後に、科学者たちが行ったことと同様だ。

「ですが、どの構造も、彼らが主張した超伝導温度を達成できないことが判明したのです」とLuo氏は述べている。

この論文は非常に大きな批判を受け、最終的に昨年『Nature』誌によって撤回された。

その件もあり、各国の物理学者たちは、今回のロチェスター大学が発表した内容について、公然と懸念を表明している。

「実験のセットアップからデータの収集・処理に至るまで、彼らの研究に関するいくつかの基本的な事実は、私や私の同僚には理解しがたいものです。もし彼らの結果が再現されるなら、それは間違いなくこの分野と世界にとって革命となるでしょう」と、Luo氏の同僚であるSun Liling氏は述べている。


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