先日、日本でもサービスが開始された衛星インターネットサービスのStarlink(スターリンク)は、同社のインターネットサービス利用者に新たに1か月あたりのデータ使用量の制限を設定し、利用者が月に1TBのデータ転送量に到達した場合、追加料金を支払わない限り転送速度を低下させる事を発表した。この施策はアメリカ・カナダのユーザー宛に実施される施策だが、今後他の地域においても同様の措置が取られる可能性がありそうだ。
- Starlink: STARLINK FAIR USE POLICY
- Reddit: Fair Use Email
これは、一部の顧客が帯域を占有してしまい他の顧客に悪影響が出ないようにという措置の一環であり、日本の携帯電話ネットワークにおいても同様の措置が取られていることはよく知られているだろう。
「少数のユーザーが異常に大量のデータを消費することによって、当社の顧客基盤に悪影響が及ばないように、Starlinkチームは2022年12月から米国とカナダの住宅顧客とすべてのビジネス/海上顧客に対して公正利用ポリシーを導入します」とFAQに書かれている。
Starlinkの公正利用ポリシーでは、一般家庭のユーザーは毎月1TBの「優先アクセスデータ」を入手することができる。この1TBを使った後は、低速でインターネットにアクセスし続けるか、1ギガバイトあたり0.25ドルを支払って “追加の優先アクセス”を利用することができる。Starlinkは先週末、顧客に新方針を通知する電子メールを送っていたようだ。なお、家庭用サービスの基本料金は月額110ドル(日本では12,300円)となっている。
12月から、Starlinkのユーザーは、「優先アクセスのデータ使用量の上限を超える前でも、アカウント内からいつでも追加の優先アクセスを自動的に購入する」ことを選択できるようになると、FAQには書かれている。この場合、通信速度の低下は防げるが、上限を超えると自動的にギガバイト単位で課金され、多額の料金が発生する可能性がある。
「ユーザーがオプトアウトを選択するまで、プライオリティ・アクセスの追加購入がオプトインされたままになります」と同社は述べているので注意が必要だろう。
ただし、ありがたいことに夜間の利用に関しては優先アクセスのデータとてはカウントされないとのことだ。「午後11時から午前7時までの使用量は、優先アクセスのデータ量の上限にはカウントされません」と、ポリシーには書かれている。夜間は企業活動による転送が減ることからだろうか。逆に個人利用は夜間、日本などでは特に20時以降に増大するため、この措置は興味深いところだ。
家庭用で1TBを超えた場合の速度制限は特にないようだが、時間帯によっては影響が顕著に出ることが予想される。StarlinkのFAQには以下のような説明がある。
家庭向けサービスプランでは、ダウンロードとアップロードは、優先アクセスのある他のユーザーの後ろにキューイングされるため、速度が低下する場合があります。ネットワークが混雑する時間帯には、電子メール、オンラインショッピング、SD映画のダウンロードなどの通常のインターネット利用は可能ですが、オンラインゲーム、ビデオ通話、4KおよびHD映画のダウンロードなどの利用はできない場合があります。
公正利用ポリシーでは、これが「特定のサードパーティサービスやアプリケーションの劣化や利用不能」につながる可能性があると指摘しており、ストリーミングビデオなど帯域消費の多いアプリケーションは「最も影響を受ける可能性が高い」という。Starlinkは、この違いが顕著でない場合もあると述べている。重要なのは、「混雑していないエリアや使用量が少ない時間帯では、通常の使用において優先アクセスと基本アクセスの性能差をユーザーが感じることはないはずだ」とのことだ。
ビジネス・ユーザーは、より制限が表面化することだろう。優先アクセスデータをすべて使用した後、企業はわずか1Mbpsの速度しか得られず、優先データを継続するためには1GBあたり1ドルを支払わなければならないと、ポリシーは述べている。企業は、月に500GB、1TB、3TBの優先アクセスデータを提供するプランから選ぶことができる。
船用のStarlink Maritimeサービスは、5TBの優先アクセス権を提供し、その後は1Mbpsの速度で、追加の優先アクセスには1GBあたり2ドルを支払うことになる。
「Starlinkは有限の資源であり、さらなる衛星を打ち上げることで増え続けます。多くの人々に高速インターネットを提供するために、我々はStarlinkの供給とユーザーの需要のバランスをとるためにネットワークを管理しなければなりません。」
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