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銀の鏡を使ってペロブスカイト太陽電池の光変換効率を3倍に高めることに成功

現在主流の太陽電池に用いられているシリコンは、天然資源としては豊富なものであるが、採掘や精製にコストがかかるのが難点だ。これに代わる新たな太陽電池の材料として近年脚光を浴びているのが「ペロブスカイト」太陽電池で、はるかに安価で同等の効率を持つ材料として研究が続けられている。

既に、オールペロブスカイト太陽電池で、変換効率を27.4%を実現するなど、実用化に向けた研究が進んでいるが、今回ニューヨーク州立ロチェスター大学のChunlei Guo教授が率いる科学者たちは、太陽電池に使用されるハロゲン化鉛ペロブスカイト(LHP)における電子の再結合過程を大幅に低減させる事に成功した。再結合はペロブスカイト太陽電池の電気性能に大きな影響を与え、開放電圧、短絡電流、充填率、そして最終的には電力変換効率に影響を与える可能性がある。

太陽電池では、太陽光からの光子が電子と相互作用して励起する必要があり、電子が原子核から離れ、電流が発生すると、Guo氏は説明している。太陽電池では、励起された電子を原子核に引き戻し、電流を停止させる力の弱い材料を使用することが理想である。

Guo教授の研究室では、ペロブスカイト材料を、「物理学に基づく」新しいアプローチで、ガラスではなく、金属層または貴金属である銀と誘電体である酸化アルミニウムの交互積層からなるメタマテリアル基板と組み合わせることで、こうした再結合を大幅に防ぐことができることを実証している。そして、ペロブスカイトの光変換効率を250%向上させることができることを発見したという。

具体的には、ヨウ化メチルアンモニウム鉛(MAPbI3)と呼ばれるLHPをベースにした膜を作製した。これを、局所的な状態密度の高い双曲線メタマテリアル(HMM)からなるプラズモン基板上に、スピンコーティングによって直接成膜したのである。さらに、電子ビーム蒸着法により、銀、硫酸アルミニウム、オゾン(Ag-Al2 O3)からなる厚さ10 nmの層を4組重ねた多層HMMを作製し、この多層HMMの上に電子ビームを照射した。

inline perovskite metal dielectric material substrate 700w
ペロブスカイト材料(シアン)と金属誘電体材料の基板との相互作用を示す郭研究室のイラストレーション。赤と青のペアリングは電子-正孔ペアである。基板から反射された鏡像は、ペロブスカイト中の励起電子がその原子コアと再結合する能力を低下させ、ペロブスカイトの太陽光採取効率を向上させる。(Illustration by Chloe Zhang)

その結果、「驚くような物理現象」によって、電子の再結合を大幅に減らすことができた、とGuo氏は言う。「事実上、金属層が鏡の役割を果たし、電子-正孔ペアの反転像を作り出して、電子が正孔と再結合する力を弱めているのです。」

「さらに、イメージ双極子相互作用により、光電変換の効率を250%以上向上させることができ、光検出器のデバイス性能を大幅に改善することができました」と、述べている。

「ペロブスカイトでこのような観測に至った人は他にいません。突然ですが、ペロブスカイトの下に金属のプラットフォームを置くことで、ペロブスカイト内の電子の相互作用を全く変化させることができるのです。このように、物理的な手法を使って、その相互作用を設計するのです。」

ペロブスカイトが実用化されるまでには、いくつかの課題を解決しなければならない。特に、ペロブスカイトは比較的早く劣化する傾向がある。現在、研究者たちは、より安定した新しいペロブスカイト材料を見つけるべく、しのぎを削っている。

「新しいペロブスカイトが出現すれば、物理学に基づくこの手法を使って、その性能をさらに高めることができます。」と、Guo氏は述べている。


論文

参考文献

研究の要旨

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