科学者は懐疑的だが常温常圧超伝導体とされる「LK-99」を巡る熱狂は続く

masapoco
投稿日
2023年8月5日 18:20
LK 99 the room temperature superconductor

Reutersは、研究者らが常温常圧超伝導体と主張する「LK-99」に関する熱狂はインターネットから中国と韓国の株式市場へと波及していると報じている。科学界が懐疑的で、その主張を受け入れる前に同業者からより多くの証拠を要求しているにもかかわらず、特定の銘柄の価格は急騰し、またその後暴落しているのだ。

新素材をめぐる誇大宣伝は、以前はTwitterとして知られていたXのトレンドトピックであり続けている。世界中でこのLK-99の正当性を確かめるための研究が行われており、特にそれが中国で活発である為、ソーシャルメディアにはこの結果がいち早く投稿され話題となっているのだ。

LK-99はなぜこうも話題になったのか?

先週、韓国の研究者数名がプレプリント・サーバーで2つの論文を発表した。その論文はまた、LK-99の作り方も載せており、鉛から作られた鉱物と銅から作られた鉱物を4日間かけて焼き固めるという、比較的単純なものであることが判明した。この製造工程の単純さもあり、これを再現しようとする動きは活発で、世界中の研究者がソーシャルメディアで結果を確認し、多くの複製を試みた。

磁気共鳴画像(MRI)スキャナーや量子コンピューターのような機器にすでに使われている超伝導体は、ゼロ抵抗のような特性を示す超低温で動作する必要がある。

室温で同じ能力を発揮できる材料があれば、医療画像やコンピューティングに革命をもたらし、損失を最小限に抑え、発電による排出を削減できる電力網を実現出来る為、テクノロジーへの影響は計り知れない。

最初の論文から程なくして、中国の研究者らがこの「LK-99」の示した反磁性の再現に成功したと投稿し、これが大きな話題を呼んだ。

ローレンス・バークレー国立研究所の固体物理学者であるSinéad Griffin氏は、スーパーコンピューターによるシミュレーションを使って、実際に論文の焼成プロセスで室温超伝導体が作れるかどうかを検証した。結果として実際に超伝導性を示す可能性を示唆したことから、これまで主張された常温常圧超伝導体とは異なる類いの“本物ではないか”とする空気が生まれたようだ。

懐疑的な科学者たち

しかし、一流研究機関の研究者たちは依然として懐疑的である。というのも、磁気浮上はひとつの側面に過ぎず、LK-99が超伝導体であることの他の特徴を証明することはまだ難しいからである。

不利な報告もいくつかあり、中国のあるチームは抵抗ゼロを観測できなかったと主張している。同時に、110ケルビン(摂氏マイナス163度)という低い温度でしか観測されなかったという報告もある。

米アルゴンヌ国立研究所の物理学者、Mike Norman氏はReutersの取材に対し、元の論文ではこの物質の広い温度範囲での挙動について十分なデータがなかったと述べている。

LK-99については、浮遊だけでなく、さまざまな物質的側面についてのより詳細な調査によって証明されるだろう。韓国の研究者たちは現在、これらの主張を検証するための委員会を結成している


Sources



この記事が面白かったら是非シェアをお願いします!


  • IMG 3810 e1688678712153
    次の記事

    ユーザー数の減少を防ぐ為、ThreadsはまもなくWeb版と高度な検索機能を実装する

    2023年8月6日 6:40
  • 前の記事

    議会がUFOの真相を探るなか、内部告発者が政府の透明性を求める

    2023年8月5日 16:25
    capitlo hill

スポンサーリンク


この記事を書いた人
masapoco

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


おすすめ記事

  • extropic

    AIスタートアップのExtropicが、GPU、CPU、TPUを凌駕する超伝導プロセッサーの開発を発表

  • gpawg superconductivity

    自然界に存在する鉱物で初めて非従来型超伝導が発見された

  • newroom quantum hardware.rendition.intel .web .1920.1080

    量子コンピュータの実現に向けた新たな融合材料の生成に成功

  • graphite

    スイスのスタートアップTerra Quantumがグラファイトを用いた室温超伝導体の発見を報告

  • file 20231220 23 komtmy

    2種類の分子状窒化ホウ素を組み合わせることで、より高速で強力な電子機器に使用されるハイブリッド材料が生まれる可能性

今読まれている記事