2023年中国フラッシュメモリ市場サミット(CFMS2023)が今月深センで開催され、Samsung、Solidigm、Micron、その他多くのNANDフラッシュベンダーが中国のバイヤーに商品を紹介した。現地メディアのA&S Magは、多くのベンダーのセッションを要約している。
その中で、Samsungの副社長でNAND製品企画グループGMのKyung Ryun Kim氏が、同社は今後10年でSSDの単体容量が1PB (または 1,024TB)にもなると予想していると述べた事は特筆に値するだろう。Samsungは、昨年の8月にサンノゼで開催されたFlash memory Summitで、128TBのSSDのプロトタイプを展示し、ペタバイト「スケール」SSDと称していた。これはQLC(4ビット/セル)NANDを使用し、ゾーン化された名前空間をサポートし、PCIe/NVMeインターフェースを搭載していた。
それから7ヶ月、Samsungは3D NANDの物理スケーリング技術、論理スケーリング技術、パッケージング技術を改善し、密度を10倍にするべく、研究を続けている。
同社は現在、238層の3D NAND技術を開発しており、1,000層の実現が可能だと考えている。だが、それだけでは不十分であると考えているようで、2030年代にはPLC(Penta Level Cell – 5 bit/cell)技術が一般的になる可能性があり、それによって1,000TB SSDが実現できる可能性があるという。
Samsungとは異なり、Kioxia(旧東芝)はNANDの論理スケーリングについて特に声を上げてきた。2019年当時、Kioxiaは3D NANDメーカーとして初めて、1セルあたり5ビット(bpc)を保存できるPLC(ペンタレベルセル)3D NANDメモリの開発について議論した。Kioxiaの科学者とエンジニアのチームは、その後、2021年に6bpcを記憶する3D HLC(ヘキサレベルセル)3D NANDメモリーの動作デモを行った。さらに同社は、8bpcのOLC(オクタレベルセル)3D NANDメモリが可能であるとの意見まで表明した。
1セルあたり6ビットを保存するためには、このNANDセルは64の電圧レベルを保持する必要があるが、8bpc OLC 3D NANDは256の電圧状態を保持する必要がある。セルあたりのビット数を増やすことは、メーカーにとって複数の課題をもたらす。
まず、64電圧や256電圧の状態を保存できる適切な材料を特定し、それらが互いに干渉しないように区別できるようにする必要がある。次に、そのような材料を用いて大量に生産できるようにする必要がある。3つ目は、3D NANDの温度管理で、セルあたりのビット数が増えるほど難しくなる。さらに、3D HLCや3D OLC NANDメモリ用の非常に複雑なECCアルゴリズムを開発する必要があり、このようなコントローラには大きな計算能力が必要となる。その結果、そのようなコントローラーのコストは、3D NANDの論理スケーリングの利点を相殺する可能性があるのだ。
Samsungは、今後10年以内に1ペタバイトのSSDを実現するために、このような多くの課題に直面することになりますが、現時点では、その達成に向けた詳細な情報は公開していない。
加えて、本イベントでは、Micronは、メモリ帯域幅がPCIe 4.0の2倍になった新しい高性能PCIe 5.0 SSDについて語った。副社長のDinesh Bahal氏は、新しいアプリケーションアクセラレーション技術と組み合わせることができれば、実際の性能はさらに高速になると述べた。
Kioxia CTO Liu Maozhi氏は、KioxiaのPCIe 5.0インターフェイスを備えた第2世代XL-Flash MLC技術について説明している。また、コピーオフロードとRAIDオフロード機能により、ホストCPUのリソースを消費することなくパリティチェックプロセスを簡素化できることを説明した。これは、このストレージクラスのメモリSSDが、単なるダムデバイスを超えた存在になることを示唆している。
Solidigm Asia PacificセールスディレクターのNi Jinfeng氏は、世界初のPLC NAND SSDのプロトタイプを紹介した。同氏は、SolidigmがPLCの高密度化と低コスト化を実現することで、将来的にHDDを置き換える新しいラウンドの基礎になると考えていると述べている。
Source
- A&S Mag
- via Tom’s Hardware: Samsung Talks 1 Petabyte SSDs: Thousands of Layers, Packaging Innovations
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