Samsungは、次世代トランジスタのGAA(Gate All Around)ベースの3nm世代プロセスを使ったロジックICの量産を2022年上期から始めているが、予想以上に歩留まりが悪く、大量生産に苦労しているようだ。
Business Post : サムスン電子3ナノ収率のせいで量産遅延、今年自体半導体のみ適用可能
- Samsungは2022年初頭から3nm GAAプロセスでの試験製産を始めているが歩留まり率が10%と低迷
- まずは自社製チップに採用
- 実現すれば他社に対して大きなアドバンテージとなる技術だが大量生産が困難
Samsungが他社に先駆けて導入した3nm GAAは問題が多く歩留まり率1割程度とのこと
Business Postの報じた内容によると、Samsungが3nmから新しく導入されたGAA(Gate All Aroud)プロセスの技術的問題がまだ解決できていないようであり、競合他社に先駆けて新技術を導入すると、歩留まりが低下し、大量生産が遅れるとのことだ。そして、現在3nm GAAプロセスで得られた歩留まり率は、驚くべき事に10~20%とのことだ。これは、製造された中で廃棄される物が9割近くにも上ると言うことで、Samsungの苦労している現状が窺い知れるだろう。
既に、「Snapdragon 8 Gen 1」で得られていた、4nmプロセスでの歩留まり率35%も、70%と言われるTSMCの歩留まり率に比べればひどいもので、QualcommがSnapdragon 8 Gen 1とSnapdragon 8 Gen 1 Plusの発注を台湾企業に移した理由もここにあると言われている。
Samsungの第2世代3nmプロセスは2023には顧客に提供できるようになるが、歩留まりが上がらない場合、Qualcommは次世代Snapdragon 8 Gen 2のために、供給確保のためにプレミアムを払ってでもTSMCに固執せざるを得なくなると思われる。
しかし、3nm GAAプロセスがひとたび完成すれば、Samsungの3nmプロセスは、コンピューティングをまったく新しいレベルに引き上げる可能性を秘めてもいる。前世代のノードに比べて1.6倍のトランジスタを搭載でき、消費電力を50%削減しながら35%高速化することができるのだ。歩留まりの問題さえクリアできれば、TSMCを圧倒することも可能だろう。Samsungとしては、一旦失った信頼を一気に回復する大きなチャンスでもあるわけだ。
情報筋によれば、Samsungの3nm GAAは、まず自社製チップの量産に採用され、この技術をベースにしたExynosの新ラインナップとなる可能性があるとのことだ。
Samsungは以前、将来のGalaxyスマートフォン向けに全く新しいExynosファミリーを開発していると言われていたが、これらが3nm GAAプロセスを活用するかどうかは不明だ。
TSMCもGAAに移行する際にSamsungと同じ問題に直面するかどうかは不明だが、TSMCは、これまで常にライバルよりも高品質のチップを製造し続けてきている。このことが、Appleに長期にわたってほぼ独占的にチップを供給できている理由の1つでもあるのだろう。
そして既に、TSMCは3nmに関しては想定以上の歩留まりを得られているとの話も出ており、その点も安心材料の1つと言えそうだ。
コメントを残す