【レビュー】iPhone 14 Pro Maxを1か月使ってみて

masapoco
投稿日 2022年11月19日 10:07
iphone 14 pro

iPhone 14 Pro Maxを使って1か月。メインデバイスとして、仕事に動画鑑賞、ゲームにとフル活用してきた。発売してすぐのファーストインプレッションでは、少し使ってみての印象を軽く書いてみたが、1か月じっくり使ってみると、やはり細かい部分で、新たに良いところと悪いところ、色々と見えてくる。そんなわけで、ここら辺で改めて、iPhone 14 Pro Maxを使いこんでみた印象をまとめてみたので、よろしければこれから購入される方は参考までに読んでいただければと思う。

iPhone Xで初めて導入されたディスプレイの“ノッチ”がなくなり、新たに“Dynamic Island”と言う、独立した錠剤型の切り欠きディスプレイに置き換えられたiPhone 14 Pro (Max)は、大きなデザイン変更もなく、外観的なインパクトに乏しいモデルチェンジとなった。ただ、初めて4800万画素の高解像度による写真撮影機能が搭載されたこと、常時表示ディスプレイにより、ロック画面でも常に時計などが表示されたままになるなど、ここ数年見られなかった大きな内部的な変更があったことは大きなトピックだ。

4800万画素の高解像度で撮る写真は、これまでにない情報量で、特にクロップ耐性が上がる事によって、失敗写真の減少に繋がることだろう。特に風景写真などは、豊富な情報量で、等倍鑑賞を楽しみたい方にもオススメ出来る。

ただ、残念だったのは、大きく宣伝されたダイナミック・アイランドが、個人的にはノッチの方が良かったと思えるくらいに邪魔な存在に成り下がってしまっていることだろうか。早急に“ならでは”の機能追加が望まれる。

オススメポイント

  • 4800万画素の高解像度で写真が撮れる
  • シネマティックモードが4K撮影に対応
  • 屋外でのディスプレイ視認性が更にアップ
  • スマートフォンとして最高クラスのゲーミング性能
  • バッテリーもちも最高

残念だったポイント

  • 変わらないデザイン
  • (為替の影響で)価格が大幅アップ
  • ダイナミック・アイランドが邪魔

カメラについて

4800万画素で風景を撮るのは楽しい

スマホの画面で見るなら、今までの1200万画素でも十分。4800万画素で撮影して何になるんだ」と言う意見もあるが、せっかく備わっている機能なのだから使わないのはもったいない。

実際、4800万画素で風景写真を撮るのは、思いのほか楽しいものだ。画像を拡大してみると、1200万画素で撮影した際には潰れて見えなかった部分が見え、新たな発見があったりする。遠くから町並みを撮った際に写った高層ビルの窓の細かな描写など、「こんな所もちゃんと写っているのか」と感心するレベルだ。とはいえ、センサーサイズはスマホに搭載される豆粒センサーなので、フルサイズミラーレスなどに比べれば解像感に雲泥の差があるが、それでもいつも持ち歩いているスマートフォンで気軽に高解像度写真が撮れるのは嬉しいものだ。

前モデルとのカメラ性能比較は以下の通りだ。緑色でマーキングしてあるところが機能向上した部分となっている。逆に、オレンジ色でマーキングしているところは、性能が落ちた部分だ。

アップグレードのあった機能iPhone 14 Pro (Max)iPhone 13 Pro (Max)
カメラ性能Proのカメラシステム(48MPメイン、12MP超広角、12MP望遠)

望遠:ƒ/2.8絞り値
広角:ƒ/1.78絞り値
超広角:ƒ/2.2絞り値

0.5倍、1倍、2倍、3倍の光学ズームオプション

第2世代のセンサーシフト光学式手ぶれ補正

アダプティブTrue Toneフラッシュ

マクロ撮影対応(超広角カメラ)
Pro 12MPカメラシステム(メイン、超広角、望遠)

望遠:ƒ/2.8 絞り値
広角:ƒ/1.5 絞り値
超広角:ƒ/1.8 絞り値

0.5倍、1倍、3倍の光学ズームオプション

センサーシフト光学式手ぶれ補正

True Toneフラッシュとスローシンクロ

マクロ撮影対応(超広角カメラ)
動画撮影性能浅い被写界深度でビデオ撮影(最大4K HDR、30fps)ができるシネマティックモード

最大4K、30fpsのProResビデオ撮影(容量128GBのモデルでは1080p、30fps)

ドルビービジョン対応HDRビデオ撮影(最大4K、60fps)

ビデオのセンサーシフト光学式手ぶれ補正
浅い被写界深度でビデオ撮影(1080p、30fps)ができるシネマティックモード

最大4K、30fpsのProResビデオ撮影(容量128GBのモデルでは1080p、30fps)

ドルビービジョン対応HDRビデオ撮影(最大4K、60fps)

ビデオのセンサーシフト光学式手ぶれ補正
写真撮影機能 写真のスマートHDR 4

フォトグラフスタイル

Photonic Engine
写真のスマートHDR 4

フォトグラフスタイル

解像度以外では正直、普通に写真を撮り比べただけでは、iPhone 13 Pro MaxもiPhone 14 Pro Maxも写真の見た目の差はほとんどなかった。細かいところでは、iPhone 14 Pro Maxのメイン(広角)カメラは、35mm換算で焦点距離24mm相当の画角になっており、iPhone 13 Pro Maxの26mm相当から若干撮影範囲が広くなっているが、並べて見ないと分からないくらいの差だ。

カメラもやっぱり綺麗

iPhone 13 Pro Maxも十分綺麗だったが、iPhone 14 Pro Maxもやはり安定して綺麗な写真が撮れる。

人物、風景、テーブルフォト、それぞれのシチュエーションに応じて最適な絵作りをしてくれるので、後は構図だけ考えればいい。万人にとって最高のカメラの1つと言えるだろう。

ただ、画質以外の点で言えば、iPhone 14シリーズは、全てのモデルで6GB RAMを搭載しており、同じ価格帯のAndroidスマートフォンに比べると見劣りする。OSが違う事、iOSは消費メモリの点でAndroidより有利とは言ったものの、4800万画素のRAW写真を撮影すると、直前にプレイしていたゲームなどは(そのゲームの消費メモリ量にもよるが)タスクが終了してしまっていることも多々あった。これはRAMが6GBしかないことも大いに関係しているだろう。来年は8GB位は搭載しておいてほしいものだ。

シネマティックモードが4K対応したのは大きい

動画で大口径レンズのようなボケを再現する「シネマティックモード」がついに4K撮影にも対応した。4K30Pではあるが、高解像度動画でもふんわりと雰囲気のある動画が撮れるようになっており、これは個人的にも嬉しいアップグレードだ。

シネマティックモードのいいところは、後の編集作業でピントを合わせる対象を修正したり、絞り値を変更して(擬似的な)被写界深度を変更することが可能なところだ。特に、良く動き回ってピントを合わせにくい子どもの撮影などは、通常のスマホの撮影ならばAFの性能や、そもそもの被写界深度が深いため、さほど苦労はしないが、大口径レンズを搭載したミラーレスカメラなどで雰囲気のある動画を撮りつつこれをやろうとすると中々苦労する。さすがに高額なレンズのボケのようにはいかないが、iPhoneのシネマティックモードによる動画撮影は、きちんと動き回る子どもにピントを合わせつつ、ある程度雰囲気のある動画を簡単に撮れるので重宝するだろう。

iPhone 13まではフルHD解像度の動画までしか対応していなかったが、今回4K解像度にも対応と言うことで、更に活躍の場が広がった。

ディスプレイの変化について

ダイナミック・アイランドは邪魔

大々的に宣伝され、新たなiPhoneのアイデンティティとしたいであろう「ダイナミック・アイランド」だが、試みとしては面白いが、黒い領域が画面上に“島(アイランド)のように”独立していることから、逆に存在感が増してしまい、ノッチ以上に目立つ。動画を見たり、ゲームによってはこれが必要以上に目立って邪魔くさいことこの上ない。初めの頃に比べればだいぶ慣れたが、それでもやはり気になってしまうのだ。

そして、喧伝されていた程に機能的に優れていないこともまた、ダイナミック・アイランドを否定的にとらえてしまう要因の1つだろう。通話時やタイマーの制御、音楽再生機能の制御くらいしかなく、新たなアプリによるこれを活かした機能が登場してこないため、そこまで革新性を感じないのも確かだ。

常時表示ディスプレイはまぎらわしい

常時表示ディスプレイでも、Androidのように時計だけのシンプルなものではなく、壁紙が表示されているのが新しいiPhoneの常時表示ディスプレイだが、これは逆にAndroidのようなシンプルな表示の方がいいのではないかと思われる。正直、壁紙が表示されているとロックされているのかどうなのかが分からず、妙に不安になってしまうのだ。そのため、筆者は初日にちょっと試して以来、この常時表示ディスプレイはせっかくの新機能にもかかわらず全く使っていない

ただ、次期iOS 16.2では、常時表示ディスプレイの調整が出来る様になり、壁紙や通知などを表示せず、シンプルな表示に留める機能が追加されるようだ。そうなると、これまでの不満が払拭され、使おうという気持ちに傾いてくる可能性もあるが、ただ、そもそも時間はAppleWatchを使っているので、そちらで確認することが多く、やはり常時表示ディスプレイのメリットがあまりないのも事実だ。

Apple渾身の新機能だが、個人的には残念な機能でもあるのがこの常時表示ディスプレイだ。

ディスプレイ自体は最高

あれこれ文句を言ったが、ディスプレイの性能自体は素晴らしいものだ。輝度がアップしたことにより視認性が上がっており、特に晴天の屋外での見え方はかなり違う

アップグレードのあった機能iPhone 14 Pro (Max)iPhone 13 Pro (Max)
ディスプレイ性能最大120Hzのアダプティブリフレッシュレートを持つProMotionテクノロジー

最大輝度1,000ニト(標準)
ピーク輝度1,600ニト(HDR)
ピーク輝度2,000ニト(屋外)
最大120Hzのアダプティブリフレッシュレートを持つProMotionテクノロジー

最大輝度1,000ニト(標準)
ピーク輝度1,200ニト(HDR)

ただ、輝度が上がると言うことは、それだけ発熱も大きいと言うことで、晴天の屋外で4K動画の撮影をしていた際に、10分程度時間が経過すると発熱が大きかったようで、自動的に画面輝度が強制的に下げられてしまった。今までiPhone 13 Pro Maxではこういった経験がなかったため、これには少し驚かされた。

ゲームやアプリのパフォーマンスについて

ゲーム

現行スマートフォン向けチップセットで最高性能を誇るA16 Bionicだけあり、提供されているゲームでは全くと言っていいほどパフォーマンスの不満はない。

最近、『勝利の女神:NIKKE』にハマってちょこちょこプレイしているが、Pixel 7では少し不満があったゲームプレイもサクサクで快適にプレイできている。やはり長時間のプレイでは発熱が気になるのも事実だが、とはいえ、熱くて持てない程にはならないので、そこはやはりA16 Bionicの優秀さの表れだろう。

その他、お馴染み原神もプレイしてみたところ、グラフィックは最高設定でも(発熱はやはりあるが)快適にプレイできている。

ただし、ゲームをプレイするにあたって、これまでにない不満が生じた。その不満とは、「ダイナミック・アイランド」の存在だ。これがノッチ以上に邪魔になのだ。

ノッチの場合、画面の縁からはみ出る感じになっていたので、慣れてしまえばそこまで気にならなかったが、ダイナミック・アイランドでは、4辺が画面に接しており、ダイナミック・アイランドの上側等にも映像が表示されていることから、どうしても目に付いてしまう。特に、一部の最適化されていないアプリなどでは、ダイナミック・アイランドに隠れて画面上でタップできない領域もあり、そもそも使えないこともあり、不便を強いられることもあった。これは、14 Pro Maxにしてから感じた大きな不満だ。

アプリ

アプリもやはりサクサク動き、不満はない。iPhone 13 Pro Maxでも特に不満はなかったが、重い処理はそれなりに処理スピードも上がっているようだ。

特に、iPhone 14 Proモデルで可能になった4800万画素でのRAW画像撮影により、iPhone内でRAW現像を行う機会が増え、必然的にiPhoneでLightroomを使う機会も増えたが、プリセットの適用なども一瞬で済み、書き出しも1枚あたり2~3秒で済むので、とても快適に使えている。

その他

バッテリーのもちは良い

もともとiPhone 13 Pro Maxもバッテリーのもちは良かったが、iPhone 14 Pro Maxもバッテリーもちは良い方だ。分解によると、iPhone 14 Pro Maxでは、バッテリー容量自体はiPhone 13 Pro Maxから若干減少しているようだが、公称では、最大ビデオ再生時間が1時間延びている。

アップグレードのあった機能iPhone 14 Pro (Max)iPhone 13 Pro (Max)
バッテリー持続時間最大29時間のビデオ再生最大28時間のビデオ再生

これは、新しい4nmプロセスで製造された事により、省電力性能が進んだA16 Bionicの恩恵だろう。

普段は、朝7時から夜7時まで12時間持ち歩く生活で、バッテリーの劣化を抑えるために概ね80%程度の充電で留めて使っているが、80%くらいで出勤し、通勤途中で合計1時間ほどゲームをやったり動画を見たり、日中もLINEやメッセージのやりとりをしたり、時々ブラウジング、カメラで撮影と普通に使っても、30~40%程度残っている事が多い。バッテリーもちはやはりとても優秀だ。

この点で不満を感じることはまずないだろう。

デザインが変わらなかったのは残念

新色のディープパープルは落ち着いた印象で、とても美しく気に入っているが、3年連続でデザインが変わらなかったのはやはり残念だ。

普段使っていてデザインは気になることはないものの、やはり購入してみて、代わり映えのないものはつまらないと言うのが正直なところだ。

その点、Apple Watch Ultraは、機能こそそこまで大きく変わらなかったが、今回デザインが大きく変わったことは個人的にはとても満足度が高く、価格は高かったが購入してからの満足度にも繋がっている。

iPhone 15シリーズはデザインが変わる事も噂されているため、待てるのならば今積極的にiPhone 14 Proを買わないで、来年の15を待つのも1つかも知れない。

結局、乗り換えはオススメ出来るか

と言うことで、前世代の12 Pro(Max)や13 Pro(Max)からの乗り換えに関してオススメ出来るかどうかだが、オススメ出来る人は以下に当てはまる場合だろう。

  • Apple製品大好き!新しい物をいち早く使ってみたい!
  • iPhoneで最高のゲーム体験がしたい!
  • 4800万画素の高解像度で写真が撮りたい!
  • 4Kでボケの美しい「シネマティックモード」の動画が撮りたい!
  • 「ダイナミック・アイランド」の画面を使ってみたい!

以上に当てはまり、iPhone 11やiPhone 12シリーズをお使いならばオススメ出来る

反対に、iPhone 13 Pro Maxを使っている方があえてすぐに移行する必要があるかというと、常に最新機種を使いたいと言う場合以外は、劇的な機能アップなども特にないので、正直あまりオススメは出来ない。

先ほども書いたが、iPhone 15シリーズでは、デザインが大きく刷新される事が噂されていること、Pro Maxが廃止され、Ultraになり、より高級路線に突き進むこと、Ultraのみの機能が搭載されと言われていることから、もう1年待てるのならばiPhone 15 Ultraを狙うのもありかもしれない。



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