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2023年8月1日付けで中国がレアメタルの輸出規制を開始した影響を受け、ガリウムの価格はわずか17日間で50%上昇したと報告されている。チップ製造(特にヒ化ガリウム[GaAs]と窒化ガリウム[GaN]に反応する場合)に使用される重要でありながら、これまで話題にも上ってこなかったこの資源の生産は、その60%を中国が占めており、米国のこれまでの規制に対する有力な対抗カードとなり得る存在だ。

中国政府は、この措置は「国家の安全と利益を守るために」必要なものだと述べた。しかし、これらの措置は、米国やその他の国々がAI処理や先端半導体製造のための技術の対中輸出をブロックしたことに対する報復として広く受け止められている。

Bloombergが報じたように、ガリウムの価格上昇は、1キログラムあたり400ドルという10カ月ぶりの高値水準にあり、チップメーカーや、高性能半導体設計のためにこの材料に依存している企業にとっては、より深刻な価格圧迫要因となっている。

ガリウム精製施設は主に中国と日本にある。ヨーロッパにも一カ所あるが、グローバル化した市場の代替供給源としてはおろか、ヨーロッパ大陸のニーズに対しても十分ではない。したがって、非生産国は、ベースメタルか、すでに加工されたヒ化ガリウムウェハーのいずれかを輸入しなければならない。

しかし、中国が制限を課しているため、米国を拠点とする企業がヒ化ガリウムを輸入しようとする場合、中国商務部に登録を申請しなければならない。これは比較的一般的な要件ではあるが、しかし、輸出業者がライセンス申請を行えるようになったのは、規制が発動された8月1日からである、とReutersは4人の貿易業者から得た情報を伝えている。さらに、ライセンス取得には最大45日かかるという事実は、貿易業者が出荷再開の許可を待っている間に国際供給が滞る可能性に繋がり、更なる混乱を招きそうだ。中国国外での需要は、2~3ヶ月は持つであろう既存の備蓄で満たさなければならないかもしれない。

ガリウムは電子機器や半導体で比較的エキゾチックな用途に使われるため、供給が絞られることは米国のチップ製造能力に影響を与える。中国がガリウムの採掘の本拠地かもしれないが、最先端のマイクロエレクトロニクスでは米国に比べ5世代も差があるため、中国のチップメーカーがガリウムの特性を活用する機会は多くない。だが逆に、ガリウムの輸出規制は、“中国国内の産業で将来使用するためにガリウムなどの主要資源の備蓄を確保するためである可能性がある”と、IDCのヨーロッパ担当シニア・リサーチ・ディレクターのAndrew Buss氏は語る。

「ガリウムやゲルマニウムの世界的な大不足はなく、どちらも多くの国や地域で広く生産されているため、中国国外に大きな影響を及ぼすことはないだろうが、中国が半導体やテクノロジー製造のために成長するために、十分な国内供給量を確保するための戦略である可能性は十分にある」と、Buss氏。

また、窒化ガリウム(GaN)は軍用機や軍艦の高度なレーダーなどのシステムに使用されているため、輸出規制はアメリカの防衛産業も狙っている可能性があると、Japan Timesは報じている。

また、ある中国政府関係者は先月、半導体材料に対するこうした規制は始まりに過ぎない可能性があると警告しており、北京が、中国が主要な供給源となっている他の主要元素に対する締め付けを計画しているのではないかという懸念につながっている。


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