Qualcommは、先月のフラグシップモバイルチップセット「Snapdragon 8 Gen 3」の発表に続き、新たなミドルレンジ・モバイルチップセットである「Snapdragon 7 Gen 3」を本日発表した。ただし、命名規則からするSnapdragon 7+ Gen 2よりも性能が向上しても良さそうだが、実質的には基本性能はこれよりも下に位置し、Snapdragon 7+ Gen 2とSnapdragon 7s Gen 2との間に位置するものになる。Qualcommとしては、2022年に発売された「Snapdragon 7 Gen 1」の直接の後継と位置づけているようだ。
ここで最も注目すべき点は、Snapdragon 8 Gen 3でも見られたオンデバイスでのAI処理に特化した機能の追加だろう。このチップは主にAI機能の処理を高めることを念頭に置いて設計されているようで、Qualcommは、コンポーネントが “オンデバイスAIに火をつけるための全面的な進歩を提供する”と述べている。これにより、生成AIアプリケーションの処理が大幅にスピードアップしており、Stable Diffusionでテキストプロンプトから画像を作成するのにわずか1秒しかかからないとのことだ。
AI処理を担うHexagon NPUの性能も「ワットあたりの性能」は60%向上しているため、AI使用時の効率もアップしている。
Snapdragon 7 Gen 3は、TSMCの4nmプロセスによって製造された最新SoCとなり、Snapdragon 7 Gen 1より大幅にアップグレードされていると、Qualcommは述べている。Kryo CPUを搭載し、最高2.63GHzで駆動するArm Cortex-A715プライムコアが1つ、最高2.4GHzで駆動するA715パフォーマンスコアが3つ、そして1.8GHzで駆動する4つのCortex-A510高効率コアを搭載する。メモリは3,200MHzのLPDDR5 DRAMをサポートする。
Snapdragon 7 Gen 3に搭載されたAdreno 720 GPUは、Snapdragon 7 Gen 1に搭載されたAdreno 710 GPUより50%高速とのことだ。フルHD+画面を168Hzで、またはQHD+画面を最大120Hzのリフレッシュレートで駆動できる。外付けスクリーンに関しては、4K外付けスクリーン1台を60Hzで駆動できる。また、OpenGL ES 3.2、OpenCL 2.0 FP、Vulkan 1.3 APIをサポートしている。HDRゲームもサポートする。
Spectra 12-bitトリプルISP(イメージシグナルプロセッサ)は、最大200MPカメラセンサーと最大4K 60fpsビデオをサポートします。シャッタータイムラグゼロのフル解像度30fpsフレームキャプチャで64MPカメラをサポートできます。デュアルカメラモードでは、30fpsのフル解像度のフレームキャプチャとゼロシャッターラグで32MP+21MPのデュアルカメラセットアップをサポートします。また、3台の21MPカメラの画像を30fps、シャッタータイムラグゼロで同時に処理することもできる。また、HDR、HLG、HDR10+、Adaptive HDR、HEIC、HEVCフォーマットとともに、GoogleのUltra HDRフォーマットもサポートしている。
通信に関しては統合されたSnapdragon X63 5Gモデムを搭載し、SAおよびNSAモードでサブ6GHzおよびmmWaveネットワークをサポートする。また、デュアル5GモードのデュアルSIMデュアルアクティブにも対応している。その他の接続機能には、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 with LE、3周波グローバル・ポジショニング・システム、NFC、USB 3.1 Gen 2 Type-Cポートが含まれる。また、aptX AdaptiveおよびaptX Losslessオーディオコーデックもサポートされている。Auracastもサポートする。
データ・セキュリティについては、4種類の生体認証に対応:顔、指紋、虹彩、音声。3Dソニック超音波指紋リーダーもサポートしている。
Snapdragon 7 Gen 3を使用する最初の商用デバイスは今月末に発表される予定だという。
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