もしあなたが睡眠中にも仕事に取り組めたり、スキルアップや試験のための勉強が出来るようになったとしたらどうだろうか?人によっては寝ているときくらいは仕事や勉強のことなど忘れたいと思うだろうが、寝るのが勿体ないと思っている人にとってはまさに夢のような話だろう。または、自分の好きな夢を見て毎晩楽しい時間を過ごせたとしたら?
スタートアップのPropheticは、夢をコントロールし、自由に「明晰夢」を見ることが出来る装置を開発したと述べている。彼らが開発した「Halo」と呼ばれるデバイスを用いれば、夢をバーチャルなワークスペースに変えることが出来、そこでどのようなことでも出来るとのことだ。
Propheticは、Haloを使えば夢を使って練習したり、創造したり、新しい可能性を探ったりすることができると主張している。Prophetic社の創設者兼CEOであるEric Wlollberg氏はFortune誌の取材の中で、「想像力が唯一の限界である」と述べている。
Halo
これまでにも明晰夢を誘発すると主張するデバイスは数多く出ている。ヘッドバンド、アイマスク、電極、サプリメントなど、多くの製品が明晰夢を見ることが出来ると主張したが、その効果には疑問が残るものばかりだった。今回のPropheticの「Halo」ヘッドセットは、焦点を絞った超音波ビームを使って明晰夢に関与する特定の脳領域を刺激するため、それらとは一線を画し、より効果が体感できるというのだ。
子宮内の赤ちゃんの健康状態をモニターするのにも使われる超音波ビームは、意思決定や意識を司る脳の部位を活性化させ、明晰夢を引き起こす。Prophetic社は、Card79社の創設者であり、Elon Musk氏の脳インプラント会社でNeuralink N1デバイスを設計したAfshin Mehin氏と共同でHaloを開発している。
Propheticは、明晰夢には、特定の問題を解決することだけでなく、起きているときには思いつかなかったトピックにアプローチする新しい創造的な方法を見つけてくれる可能性があると言う。例えば、数学者は夢の中で数学の問題の正確な答えを見つけることはできないかもしれないが、後で新しい方法を発見するかもしれない。Wollberg氏は「顧客にコントロールを提供したい」と語っている。
明晰夢をコントロールすることは果たして可能なのか
しかし、誰もがProphetic社の主張に納得しているわけではない。モントリオール大学の心理学教授で、睡眠と夢の専門家であるAntonio Zadra氏は、明晰夢を誘導するのはそれほど単純ではないと述べた。明晰夢を見る人の多くは、夢を見ていることを忘れてしまったり、すぐに目が覚めてしまったりするという。
また、夢をコントロールするのはさらに難しく、多くの練習と技術が必要だという。彼は、夢をコントロールする可能性を高めるために、瞑想、夢日記、視覚化など、他のテクニックを使うことを提案した。
Wollberg氏はこの懐疑論に対し、前頭前皮質の活性化レベルと夢をコントロールする能力を関連づけた一連の研究を引用して反論した。刺激が多ければ多いほど、利用者は目標をコントロールしやすくなるという。また、多くの研究が仮説を確認するための追加テストを推奨していることも指摘した。
Prophetic社の製品は、オランダの脳研究センターであるDonders研究所の研究に基づいている。同研究所の研究から、Prophetic社は明晰夢を誘発するためにどの特定の脳領域をターゲットにする必要があるか、また超音波の周波数を決定する予定だ。そして同社は2024年春にこのデータを取得し、2025年春に装置を出荷する予定だという。
Haloの価格は1台1500ドルから2000ドル程度になるとWollberg氏は推測している。消費者は、返金可能な100ドルの頭金を支払うことで、前もって製品を予約することができる。Wollberg氏は、何人が申し込んだかは明らかにしなかったが、同社が予約システムをオープンしてから最初の数週間は数十万ドルの予約収入があったと述べ、キャンセル待ちリストが数千人規模であったことを示唆している。
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