昔使っていてそのままだった楽天モバイル回線の基本料金がかかるようになるため、せっかくだからMNPで安くAndroidスマートフォンでも入手しようかなと思っていたところ、一括1円でPixel 6aが手に入るとのことで、これ幸いと言うことで手に入れてみた。久しぶりのAndroidスマートフォン、あれこれ使ってみた結果をレビューでお伝えしたい。
筆者は普段iPhoneを使っているので、そこら辺のiPhoneとの使い勝手の差も比較してみた。参考にして頂ければと思う。
最も “Androidらしい” スマートフォン
GoogleのPixelフォンは、Google謹製と言う事で、Android OSが最速で使え、更にドコモ、au、SoftBankなどのスマホにありがちな“余計なアプリ”が入っていない、素の状態で使える希少なAndroidスマートフォンだ。
Google Pixelフォンは、2022年10月現在以下のラインナップが存在する。
- Pixel 7 Pro:124,300円
- Pixel 6:82,500円
- Pixel 6a:53,900円
そんなGoogle Pixelフォンの最新版「Pixel 6a」は、その手頃な53,900円という価格設定にもかかわらず、上位機種の「Pixel 6 Pro」と同じ「Tensorチップ」を搭載し、ディスプレイも有機ELを搭載しているなど、現在Androidスマートフォンを買うならばかなり有力な選択肢になる優等生といえる。
価格差は、ディスプレイの性能差や、カメラの数、カメラ性能の差、筐体素材の差、搭載RAM容量などに現れているが、セカンドスマホとするならば十分すぎる性能だろう。普段使いでも、最新のゲームを最高の画質で快適に遊びたいと言う事ではなく、そこそこの画質で遊べればいいと言うことならば、全く問題ない。唯一の懸念事項は、ストレージが128GBの1択であること、後付けのメモリが使えないことだろうか。
Pixel 6aのスペック
仕様 | スペック |
---|---|
サイズ | 約W71.8×H152.2×D8.9(mm) |
重量 | 約178g |
バッテリー容量 | 4,410mAh |
RAM容量 | 6GB |
ストレージ容量 | 128GB |
ディスプレイ(画面)タイプ | 有機ELディスプレイ |
ディスプレイ(画面)サイズ | 約6.1インチ |
ディスプレイ(画面)最大表示色 | 約1,670万色 |
ディスプレイ(画面)解像度 | 2,400×1,080(FHD+) |
防水 | IPX7 |
防塵 | IP6X |
SIM | nano SIM/eSIM |
OS | Android™ 12 |
CPU | Google Tensor |
生体認証 | ディスプレイ内蔵指紋認証センサーによる指紋認証 |
背面カメラ | 12.2 メガピクセル デュアル ピクセル広角カメラ ピクセル幅 1.4 μm 絞り値 ƒ/1.7 画角 77° イメージ センサーのサイズ 1/2.55 インチ 12 メガピクセル ウルトラワイド カメラ ピクセル幅 1.25 μm ƒ絞り値 ƒ/2.2 画角 114° Lレンズ補正 |
インカメラ | 8 メガピクセル ピクセル幅 1.12 μm 絞り値 ƒ/2.0 固定フォーカス 画角 84° |
動画 | 背面カメラ 4K 動画撮影(30 FPS、60 FPS) 1080p 動画撮影(30 FPS、60 FPS) 前面カメラ 1080p 動画撮影(30 FPS) |
同梱品 | 1mUSB-C – USB-C ケーブル(USB 2.0)、 クイック スイッチ アダプター、 SIM ツール |
Googleが直接作っていると言うことで、GoogleがAndroidというOSで実現したいことを最も忠実に具現化できているのがこのPixelシリーズだ。それは、どこかiPhoneとAppleの関係のようにも見える。(まだ、iPhoneのようなハードとソフトの高度な融合には至っていないが)
では実際の使い勝手はどうだろうか?
指紋認証そこかよ!と、iPhoneにはない要素に驚き
最初のセットアップで、とりあえず生体認証を登録しておこうと、指紋認証登録に進んだのだが、よくある説明だろうと思い、普通に画面のアナウンスを読み飛ばしつつ進めていったところ、指紋登録で若干戸惑った。「指紋センサー」に指を乗せて下さいと言われたが、それらしい物が見つからない。iPad miniと同じような電源ボタンが兼用なのかな?と軽く乗せてみたが反応せず。はたまた背面にでもあるのかとあちこち探したが見つからず。一体どこにあるんだろうと悩んだ末、ふと気付いた。そうか!「ディスプレイ内蔵型か」と。(普通にアナウンス読んでいればこんなことにはなりません。念のため)
そう、Pixel 6aの指紋センサーはディスプレイの真下に内蔵されているのだ。これには長いこと最新のAndroidスマートフォンから離れていた筆者、軽くジェネレーションギャップを味わわされた形だ。いくつか格安スマホは使っていたが、大体が背面に指紋センサーのあるタイプだったので、ディスプレイ内蔵型指紋センサーという、値の張るスマートな機能がこの価格で搭載されているのは中々驚きだ。
指紋登録後は、ロック解除は画面の指紋センサー部に指を当てれば解除になる。ただ、これが中々うまく認識してくれなかった。初日は割とうまくいったのだが、次の日は全然認識してくれなくて、結局パスコードで認証する羽目になったり、かと思えば別の日はしっかり認識してくれたりと、安定して認識してくれないのだ。ここらはちょっと不満を覚えた部分だ。
次にそれぞれの機能を使ってみた。
メインカメラは(価格を考えると)驚きの画質
まずは最も多く使われる機能であろう、「カメラ」から。
晴天の屋外という好条件で撮影を行った。中々発色も豊かで、細かい部分も割と良く解像している。
ちなみに、価格が3倍する「iPhone 13 Pro Max」で撮った画像も参考までに掲載しておくが、見比べてみて驚くのは、パッと見ほとんど差がない点だ。
もちろん、細かく見れば空の階調の豊かさや、発色、細かな解像感の面では差があるだろうが、3倍の価格差があるにしては、Pixel 6aはずいぶん頑張ってるなと言う印象だ。
反面、評判の良かったポートレートモードは、筆者の撮影条件が悪いのか、思ったほど綺麗にボケずに少し残念な結果だった。ミラーレスの大口径レンズのような、なだらかに溶けるようなボケは端から期待していなかったが、どうも「被写体をくりぬいて、周りだけボカしフィルターかけました」感が強く、積極的に使おうとは思えなかった。ただ、これについてはAIによるボカし処理は大体が似たような処理結果になるので仕方ないだろう。
反面、テーブルフォトはいい感じだ。割と暗めの店内だったが、ノイズも少なく綺麗に撮れている。この価格でこれだけ撮れるなら満足度はかなり高いのではないだろうか。
特に、「よだれ鶏」は、鶏肉のピリ辛感やタレのからんだゆで鶏のみずみずしさがしっかり表現され、中々美味しそうに撮れている。(余談だが、炒飯にレタスってどうなのと思われる方もいらっしゃるかも知れないが、これがなんとも素晴らしい食感なので是非試して頂きたい。)
また、面白い機能は「消しゴムマジック」といった、映り込んでしまって消したい被写体をAIが違和感なく消してくれる機能が搭載されているところだろう。
ちなみに、カメラ、ディスプレイの評価サイトである「DxOMark」では、Galaxy S22よりもカメラ性能の評価は上だったので、価格を考えると驚きだろう。iPhoneとの比較では、「12以上13以下」と言った感じだろうか。
最新ゲームも問題なくプレイできる性能
さて、Google謹製「Tensorチップ」の性能はいかほどの物だろうか。
GeekBench 5を実行した結果は以下の通り。CPUについて、シングルコア1,036、マルチコア2,790ポイントだった。比較として、シングルコアスコアの1,036という数値は、2021年発売のSamsung Galaxy S21+5Gと同程度か少し上回る程度ということで、少し前のフラッグシップ以上のスペックを誇っている。逆にマルチコアスコアは少し低く、同様に、Samsung Galaxy S21+5Gから1割以上スペックは劣るようだ。
最近のスペックからすると、ミドルレンジ級と言うことになるだろうか。実際に、ゲーム『原神』をプレイしてみた。自動で選択されたグラフィック設定は「中」と言うことだが、正直それまでプレイしていたiPhone 13 Pro Maxのグラフィック設定「最高」との差はよく分からない。
普通に綺麗なグラフィックでプレイできており、特別問題は感じない。
ただし、プレイしている間にかなり発熱するのが気になった。実際に計測してみたところ、ちょうど背面向かって右上あたりにTensorチップが配置されているのか、この周辺はじんわりと熱を帯び、43度前後になっていた。ちょっと触ると熱いなと感じるレベルとなり、長時間のゲームプレイには支障をきたすものだった。特に、『原神』などの負荷の高いゲームだと、開始10分程でかなり熱くなり、フレームレートも落ちてしまい、あまり快適にはプレイできなかった。設定でクオリティを下げればプレイできるが、画質が犠牲になるのは覚悟しておこう。
ただ、負荷の高い処理が終われば割と早めに冷えてくれる。YouTubeを見る程度ならばほんのり暖かいかな程度に感じるくらいだった。
普段の処理では、そこまで発熱することもなく、ネット上で騒がれていたほどには発熱は気にならないかなと言うのが正直なところだ。ただ、最新3Dゲームのプレイにはあまり向かないかも知れない。
バッテリーのもちはそこまで悪くない
素晴らしいなと思ったのが、スマートフォンを使用せずに放置していた時のバッテリー消費だ。Android 13には、「バッテリーセーバー」機能が搭載されている。これは、画面をダークモードにし、一部アプリのバックグラウンド更新や特定の機能などが制限・オフになるものだが、これによって消費電力が抑えられる。
これが中々優秀で、セカンドスマホと言う事で丸2日以上ほとんど使わずに放置していたところ、バッテリーは15%程度しか減っていなかった。
メインで使う場合は、こんな放置することもないとは思うが、待機時の消費電力が少ないと言うことは、デバイスの寿命にも繋がるため歓迎すべき機能だろう。
ただし、積極的に使った場合は別だ。バッテリー容量は4,400mAhということで、このサイズのスマホとしては少なくはないが、1日中使うには心許なかった。朝の8時頃に100%充電された状態で外出し、片道40分程度の移動中は動画を見たり、ゲームをしたり、時々ブラウジングやカメラを使う使い方をしたが、夕方5時の時点では残り40%程度と言うことで、もっと積極的に使った場合はモバイルバッテリーが必要になる印象だった。
最新のAndroidを3年間利用することが出来る
Google Pixel 6aでは、Androidのメジャーバージョンアップが発売から約3年後の2025年7月まで保証されている。そのため、Android15、上手くいけばAndroid16までアップデートして利用することが可能だ。
また、セキュリティアップデートは、発売後5年間行われると言うことで、2027年7月までは安心して利用できる。(デバイスのバッテリー寿命などにもよるが)比較的長い間い続けることが可能だ。
特に、Androidのメジャーバージョンアップが3年間行えると言うことは大きく、またPixelと言うGoogle製のデバイスである事から、常に最新のOSで最新の機能が試せるのは大きいだろう。特に最近のスマホはハードウェア的な進化が乏しいこともあり、ソフトウェアで差を付ける形になってきているので、最新のOSが使えることの意味はかなり大きい。Google製以外のAndroidデバイスでももちろんOSのアップデートは行えるが、大体が独自のカスタマイズを加えていることから、純正AndroidOSのリリースから、半年、下手したら1年アップデートが行われないなんてこともある。その点、Pixel 6aは新しいOSが公式リリース後すぐに利用することが可能だ。
また、Androidのベータ版を試せるのもPixel 6aの面白いところだろう。ベータ版と言うことで、あまりメインの端末で使う事はオススメしないが、Androidの最新の試みをいち早く試すことが出来るのもまたガジェット好きとしてはたまらないのではないだろうか。
Pixel 6aは最高のオモチャだ
軽く、手頃なサイズに、普段使いでは全く困らない性能、そしてカメラ性能もこの価格のスマートフォンとしては驚くほど高いことを考えると、サブ機としてはもちろん、メインとしても十分使える優秀なデバイスだ。
特にPixelデバイスの特徴である、最新のAndroid OSをいち早く試せるというのはとても大きな利点だろう。コストパフォーマンスを考えると、ガジェット好きにはたまらない“オモチャ”だ。
しばらくAndroidから離れていた筆者も、久しぶりに最新のAndroidに触れてみて、より洗練されたUIや使い勝手など、以前と比べてiOSと比べても遜色ないレベルに到達しているなと思わされた。
最近発売になったPixel 7シリーズと合わせて、安心して、快適に使えるスマートフォンの選択肢が増えてきたことはうれしい限りだ。
評価:[review_stars 3.5/5]
コスパ良し!!セカンドスマホとしては最高かも
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