NVIDIAとAMDのGPUを同時に使うという発想にも驚かされるが、それによってもたらされるパフォーマンス向上幅も驚異的な物だった。
韓国のQuasarzoneはNVIDIAのDLSS 3によるフレーム生成技術とAMDのFluid Motion Frames(AFMF)を組み合わせる事により、ゲームの平均フレームレートを最大3倍も向上させることが出来る事が示された。これは驚異的な結果ではあるが、特定のグラフィックボードと特殊な設定を必要とし、完全にスムーズなゲームプレイが保証されるわけではないようだ。
NVIDIAのフレーム生成テクノロジーは、DLSS 3に含まれており、NVIDIA RTX 40シリーズのグラフィックスカードでのみサポートされている機能だ。AIによって生成された画像を挿入することでフレームレートを実質的に倍増させる。
一方、AMDのAFMFは、FSR3(次世代アップスケーリング)とHYPR-RXのための技術として開発されている。AMDは、ドライバー機能の一部として、独自のフレーム生成技術を別途有効にすることを計画している。ゲーマーは、AMDのドライバーとGPUがあれば、サポートされている各ゲームでAFMFを有効にすることができる。
QuasarZoneは、NVIDIAとAMDのフレーム生成技術を同じグラフィックスパイプラインで組み合わせるという斬新なアイデアを思いつき、これを試している。これが可能であれば、両方のGPUがフレームを生成し、理論的にはさらに高いパフォーマンスを実現することだろう。実際、一部のテストではパフォーマンスが大幅に向上しているが、このアイデアが実用的であるかどうかは更なる検証が必要だ。
これらの技術を組み合わせて機能させるには、NVIDIAのRTX 40(DLSS 3フレーム生成サポート)とAMDのRX 6000/7000 GPU(AFMFサポート)の両方をサポートするシステムが必要となる。システムはAMD GPUを介してディスプレイに出力し、Windows OS内でNVIDIAグラフィックスカードをプライマリGPUとして設定する必要がある。これにより、Radeon GPUはディスプレイを駆動し、GeForce GPUはゲームを駆動する。
AFMFテクノロジーを有効にするには、最新のテクニカルプレビューまたはベータドライバーをインストールし、Radeonコントロールパネルからグローバル設定タブの下でAFMFを「有効」に設定する必要がある。一部のゲームではグローバル設定を使用してもAFMFが有効にならないため、ALT+Rを押してコントロールパネルを表示し、手動で機能を有効にすることができる。また、AFMFはゲームがフルスクリーンモードで実行されている場合にのみ動作し、ボーダレスウィンドウやウィンドウモードではサポートされていないことに注意が必要だ。
DLSS 3フレーム生成を有効にするには、ゲームの設定内でオプションを切り替えるだけだ。
ゲームはRTX 4090でレンダリングされ、そのネイティブなDLSS3 フレーム生成技術を使用し、出力されたイメージはAFMFによって再度補間され、平均フレームレートをネイティブ解像度と比較して最大290%まで向上させるのだ。AFMFなしでは、『Cyberpunk2077』のようなゲームで約200%の向上となった。
平均FPSの大幅な向上が達成されており、パフォーマンスの向上は顕著なものだ。しかし、すべてのゲームで同様の増加が見られるわけではなく、『COD: MW III』では、AFMFとDLSS 3フレーム生成のスタンドアロンプリセットと比較して最小FPSが低下した。『Starfield』と『ラチェット&クランク:リフトアパート』もパフォーマンス向上が見られたが、全体的な安定性はあまり良いとは言えない。
さらに、この設定では2枚のカードが使用されるため、消費電力が増加し、特殊なGPU設定が必要になる。AFMFはRadeon RX 6600 GPUリソースの90%を使用するため、RX 6500 XTのようなカードでは十分ではない可能性もある。
非常に興味深い実験だが、こうした組み合わせはどちらのメーカーからもサポートされていないため、不安定なものであり、何らかの不具合が起きる可能性があるため一般ユーザーにはオススメ出来ない事は再度お伝えしておく。
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