MSIは、電源ユニット(PSU)「MEG Ai1300P PCIE5」を発表した。これは、世界で初めてATX 3.0に完全準拠した電源ユニットとなる。
MSIがついに、世界初のATX 3.0設計となる次世代MEG PCIE5 PSUラインナップを発表した。MSI MEG PSUラインアップの第一弾は、次世代CPUおよびGPUプラットフォーム向けに設計されたエンスージアスト対応モデルである「MEG Ai1300P PCIE5」となる。
ATX3.0は、今年の初めにIntelがおよそ20年ぶりに発表した新しい電源規格だ。より高い信頼性と優れた電力効率を提供し、今後増えてくるであろう、消費電力を必要とする高性能なCPUやGPU、より高速なPCI Express 5.0対応デバイスなど、次世代ハードウェアがフルパフォーマンスを発揮できるような新たな電源の供給方法を提供するために策定された。特に新しい16ピンの12VHPWR電源コネクタをサポートしており、1本のケーブルで最大600Wの電力が可能となっており、今後登場するハイエンドグラフィックスカードにも対応できるとしている。詳しくは下記のリンクをご覧いただきたい。
MSIは、今回新たな電源ユニットの発表に合わせて、これらの電源ユニットに行ったテスト情報も公開するという、新たな試みを行っている。
また、Ai1300Pは、GPUの消費電力が急上昇したときのために、最大2,600Wの急激な電力消費に耐えることができると述べている。
現在の電源は、短時間に消費電力が定格電力仕様を超える程に急上昇しても、それを維持するように設計されている。しかし、NVIDIAのRTX30xxシリーズGPUでは、この消費電力の急上昇が問題となり、回路保護機構のためにシャットダウンするユニットもあるほどだ。そして、次世代GPUは現行GPUのほぼ2倍の電力消費定格になるとの報告もある。
Ai1300Pは最大2,600Wまでの急激な電力消費に耐えられるとのことだが、これはこのPSUが処理できる最大限の値であり、このような急激な電力に耐えられるのは1ms未満とのことだ。2,340Wの場合は1ms、2,080Wの場合は10ms、1,560Wの場合は100msまで耐えられるという。
MSIのMEG Ai1300P PCIE5は、ATX 3.0規格に完全準拠した最初の、そして現時点では唯一の電源である。しかし、NVIDIAの次世代RTX40xxシリーズやAMDのRadeon RX 7000シリーズGPUのリリースが近づくにつれ、より多くのATX 3.0準拠ユニットが市場に出回るようになるはずだ。
合わせて、興味深いことに、MSIは、600Wの電力引き込みに耐え、1,800Wまでバーストできる次世代GPUを準備しているようだ。
以下、プレスリリースを転載する。
MSI、初のATX 3.0対応PSU「MEG Ai1300P PCIE5」を発表
MSIは初のATX3.0対応電源MEG Ai1300P PCIE5を発表いたします。MEG AI1300P PCIE5は最新のATX 3.0とPCIe 5.0規格に対応し、次世代のグラフィックスカードに対応します。 昨今のグラフィックスカードの進化が目覚ましい中、ユーザーがアップグレードを検討している場合、自分のシステムにどのようなパーツを選択すれば良いか知っている必要があります。MEG Ai1300P PCIE5が何故将来性を重視する製品なのかを理解するためにまずはATX 3.0を理解する事から始めましょう。
ATX 3.0とは?
ATX 3.0は、Intelが発表した既存のPSUに新たに策定した仕様規格です。つまり、ATX 3.0の主な目的は、より高い信頼性と優れた電力効率を提供し、グラフィックスカードに最大600Wの電力を供給できるようにすることです。ATX 3.0は、グラフィックスカードの性能の向上と電力に対するニーズの高まりにより作成されたものです。
ATX 3.0はハイエンドグラフィックスカードを安定して稼働させるために、電源のパワーエクスカーションに重点を置いています。ATX3.0では、アイドル時の電力変換効率を改善し、600Wの電力供給を達成するために、新しい電源コネクタが追加されます。
ATX 3.0は新しいPCIe 5.0 12VHPWRコネクターが追加されます。PCIe 5.0コネクターは従来の6、8ピンに置き換わる12+4ピンケーブルとなり、最大600Wの電力供給を実現しました。
PCIe 5.0 and ATX 3.0完全対応
市場の多くの電源はまだATX3.0規格に対応していません。多くは、3つまたは4つの8ピンPCIeコネクタを1つのPCIe 5.0 12VHPWRコネクタに接続するアダプタが必要になります。MSIのMEG Ai1300P PCIE5電源ユニットは、PCIe 5.0およびATX 3.0に完全に準拠しています。ネイティブ16ピン(12VHPWR)PCIeコネクタを備えたMEG Ai1300P PCIE5は、将来のあらゆる高性能グラフィックカードに対応し、最大600Wの電力をPCIe 5.0グラフィックスカードに供給することができます。グラフィックスカードやCPUが必要とする高出力に耐えるため、MEG Ai1300P PCIE5電源のコネクタには銅合金端子を採用し、より安全性を高めています。
すべてが本物で、テストによって実証されています。
PCI-SIGによると、グラフィックスカードは最大消費電力の3倍を超えることが可能です。NVIDIA GeForce RTX 3090 Tiや今後発売される次世代グラフィックスカードなどの高性能グラフィックスカードでは特にそうです。次世代グラフィックスカードは、600Wの電力を必要とし、最大1800Wまで電力が上昇すると考えられています。 パワーエクスカーションは100マイクロ秒しか続きませんが、システムに大きなダメージを与える可能性があります。パワーエクスカーションは、多くの人がパワースパイクとも呼んでいます。
Intelのテスト要件
MEG Ai1300P PCIE5テスト結果
チャートの下側に表示しているものを見てみると、MEG Ai1300P PCIE5はPSUワット数の200%まで2倍のパワーエクスカーションを安全に達成しています。MEG Ai1300P PCIE5の電圧は、電流が急激に激しく変化する場合、システムの安定性を維持し、システムの異常を避けるために、許容電圧範囲内に制御することができます。
OPPとOCPによる安全性の確保
電源によっては、OPPとOCPの閾値を持ち上げて、電力スパイクをごまかすことがあるので、注意が必要です。MEG Ai1300P PCIE5では、このようなことはありません。下のグラフに示すように、MEG Ai1300P PCIE5は1623.55Wで1300W x 1.25のOPPレベルを維持します。
基準を満たす電源のタイミング値
ATX3.0に完全準拠するためには、電源が満たさなければならないタイミング値も存在します。MEG Ai1300P PCIE5は、下表に示すようにそのタイミング値に完全準拠しています。
次世代のハイエンドグラフィックカードが徐々に近づいてきており、システムをアップグレードすることを想定しているユーザーにとって、準備することがより重要となってきています。MEG Ai1300P PCIE5は、ATX 3.0およびPCIe 5.0に完全対応しているため、高性能パーツへのアップグレードを検討しているユーザーにとって最適な電源ユニットです。
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