JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、日本のロボット型月着陸船「SLIM」が、予定通り12月25日に月周回軌道に到着した事を報告した。宇宙船は12月25日16:51に月周回軌道に入った。
JAXAによると、SLIMの月周回軌道は、周期約6.4時間、月に最も近いところ(近月点)では高度約600km、月から最も遠いところ(遠月点)では高度約4,000kmで、月の北極点と南極点を結ぶ楕円軌道となっているとのことだ。
このマイルストーンにより、SLIMは1月19日に月面タッチダウンを試みる目標が達成された。この試みが成功すれば歴史的な快挙となる。現在までに月面に船を軟着陸させたのは、ソ連、アメリカ、中国、インドの4カ国だけである。
長さ2.7メートルのSLIMは、強力なX線宇宙望遠鏡XRISMとともに9月6日に打ち上げられた。
日本の両宇宙船は地球軌道に投入され、XRISMは現在も軌道上にある。しかし、SLIMは9月30日に地球の重力圏を離れ、月への長く迂回的でエネルギー効率の良いルートを歩み始めた。
そして今日、SLIMは月軌道に投入され、その旅は終わりを告げた。SLIMは100m以内の精度で着陸地点を目標としている。これはJAXAによれば、“月のような重力天体においては他に類を見ない高精度着陸”とのことだ。
SLIMは「将来の月惑星探査に必要なピンポイント着陸技術と、小型で軽量な探査機システムの実現を目指す」ためのミッションであるとJAXA関係者はミッションの説明に書いている。
SLIMを実現することで、我々人類は、従来の「降りやすいところに降りる」着陸ではなく、「降りたいところに降りる」着陸へ、と質的な転換を果たすことになります。これを実現することで、月よりもリソース制約の厳しい惑星への着陸も現実のものとなってきます。
計画通りにいけば、SLIMは着陸後、月面に2つのミニプローブも展開する。JAXAによると、これらの小型探査機は写真を撮影し、ミッションチームのメンバーがSLIMの状態を監視するのを助け、「地球と直接通信するための独立した通信システム」を提供するとのことだ。
日本の探査機が月周回軌道に到達したのはSLIMが初めてではなく、1990年には「ひてん」が、2007年には「かぐや」が到達している。
そして、東京に本社を置くispace社が製造した着陸機「HAKUTO-R」が、この3月に月軌道に到着した。HAKUTO-Rは1ヵ月後に月面に着陸しようとしたが、センサーが月のクレーターの縁に惑わされて墜落した。
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