2022年6月に、日米が2nmプロセスチップの開発を目指すパートナーシップを締結したことはお伝えしたが、実際にこの計画が始動するのかどうかは懐疑的な見方が多かった。あれから約半年、どうやらこのパートナーシップが具体的に動き出すようだ。日本経済新聞によると、この度、日本政府は第二次補正予算案の中で、新たに、米国との共同研究拠点の建設に約3500億円を盛り込んでいるとのことだ。
この研究拠点は、まだ名前の知られていない日米の半導体企業や、日米欧の複数の大学から構成されることになると日本経済新聞は報じている。日本の大学としては、東京大学、産業技術総合研究所、理化学研究所の名前が挙がっている。また、IBMも参加候補に挙がっているという。
この拠点では、今後10年以内に2nmクラスの微細加工技術を使ったチップを作るために必要な材料を探索する基礎研究を行う予定だ。しかし、日本が実際に商用チップを作るファブを建設する計画があるかどうかは不明である。また、もしそのような計画があったとしても、日本のどの企業が最先端ノードのチップを作るのに十分な資金と規模を持っているのかも不明だ。
かつては栄華を誇った日本企業も現在の半導体業界では、その存在感は見る影もない。現在、日本で最先端メモリを生産しているのは、Kioxia(キオクシア)だけであるが、そのシェアも他社に比べるとかなり低い。その他の日本のチップ開発企業は、後方ノードを使って国内で製造するか、TSMCに製造を委託している有様だ。
今回の日米パートナーシップを通じて、日本政府は日本の半導体産業を復活させたいと考えており、そのためにKioxiaとWestern Digital(ウエスタンデジタル)、Micron(マイクロン)、TSMCが日本国内に新しい工場を建設するための補助金を承認している。
日本政府は、新研究拠点に3500億円を投じるほか、先端生産拠点に4500億円、製造に必要な資材確保に3700億円を投じる方針で、日本の当局がいかに半導体産業の復活に賭けているか、その姿勢を鮮明にしている。
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