チップ設計企業のFaraday Technologyは、Arm Neoverseテクノロジーをベースとした業界初の64コア・データセンタープロセッサーの開発計画を発表し、これの製造にIntel Foundry Servicesの18A(1.8nmクラス)製造プロセスを採用する事を発表した。
このSoCの開発では、Armがこのようなチップの開発を簡素化するために開発したNeoverse Compute Subsystem(CSS)を使用される予定だ。
2023年半ばに発表されたCSSは、Armが顧客のためにプロセッサー全体を設計するに等しいものだ。CPUコアやGPUなどのチップ構成要素をライセンス供与し、それらを組み合わせるのは顧客に任せる代わりに、ArmのCSS設計はカスタマイズの余地をほとんど残さない。
昨年末に発表されたMicrosoftのCobalt 100チップは、ArmのCSSプラットフォームが実用化された最初の例の1つだ。
既にIntelとArmは協業を発表していた事もあり、今回のチップにおいて、チップ設計とプロセス技術を統合し、設計から製造への迅速な移行を可能にするDTCO(Design Technology Co-Optimisation)が行われる。
Arm Neoverseコアをベースにした新しいSoCは、64コアを搭載し、データセンターやネットワーク、5Gインフラでの使用を想定して設計されているという。Faradayは、この設計がどのNeoverseコアを使用するかは明らかにしていないが、2025年前半の発売時期とコア数から、N2キットを使用していると思われる。これは明らかに、対応するコンピューティング・タスクを実行するHPCやAIのプロセッサーではなく、インフラにおける様々なタスクを実行するためのプロセッサーだ。複雑化・高速化するネットワークと、ネットワークを通過する際のデータのフィルタリングと処理は、ますます重要な役割を果たしている。Faradayは、このSoCはArm Total DesignエコシステムのさまざまなインターフェースIPも搭載すると述べている。
FaradayのCEO Steve Wang氏は、「Faradayは、Armトータル・デザインのデザイン・サービス・パートナーとして、将来のアプリケーションの進化するニーズを満たすために、戦略的に最先端の技術ノードをターゲットにしています。今回、Intel 18Aテクノロジーを活用した新しいArm NeoverseベースのSoCプラットフォームの開発を発表できることを嬉しく思います。このソリューションは、当社のASICおよびDIS(デザイン・インプリメンテーション・サービス)のお客様に利益をもたらし、最先端のデータセンターおよびHPCアプリケーションの市場投入までの時間を短縮することを可能にします」と、述べている。
なお、Faradayはこのプロセッサーそのものを販売するのではなく、その設計を顧客に提供し、顧客がニーズに合わせてカスタマイズできるようにする予定だ。今のところ、Faradayに潜在的な顧客がいるかどうかも明らかではないが、同社はIntel 18A製造プロセスにおけるArmのNeoverse技術に自信を持っているようだ。これらの潜在的なCPUは、IFSによって製造され、IFSによって製造される最初のArmベースのデータセンター・プロセッサーのひとつとなる可能性が高い。
Intel 18Aテクノロジーは、GAA(Gate All Around)RibbonFETトランジスタとPowerViaバックサイド・パワー・デリバリーに依存している。この製造プロセスは、Intel 20Aと比べてワット当たり10%の性能向上を約束し、特にデータセンター・アプリケーションに適していると期待されている。
なお、IFSとArmは、2023年4月にIntel 18A製造技術で製造されるモバイル・システムオンチップに関する協業を発表している。今のところ、この合意はまだ実を結んでいないが、少なくとも1社の受託チップ設計者が、Arm NeoverseとIntel 18Aを使ってデータセンター市場に取り組むことに関心を持っていることが判明した。
Sources
コメントを残す