Intelの第13世代Raptor Lake CPUは、AMDの次世代Zen 4 CPUと異なり、DDR5とDDR4のRAMに対応している。まだ発売前ではあるが、これまでにリークされたベンチマークテストで、やはりより高速なDDR5を搭載したシステムの方が高速に動作することが明らかになっている。
Core i7-13700KはDDR5メモリを組み合わせることで大幅なマルチコアスコアアップ
最近の噂では、Intelは10月7日の発売を視野に入れているとされているため、Raptor Lakeの発売ももうすぐだ。Raptor Lake CPUは、Core i9-13900K、Core i7-13700K、Core i5-13600KなどのハイエンドKシリーズSKUと、最上位のZ790チップセットが発売されると言われている。また、発売前ではあるが、これらは各所でサンプル品のベンチマークテストが公開されており、その性能の一端が明らかになっている。
Core i7-13700Kは、8つのRaptor Cove Performanceコア(Pコア)と8つのGracemont Efficiencyコア(Eコア)からなる16コアのプロセッサだ。また、Raptor Lakeチップは30MBのL3キャッシュを搭載し、ベースクロック3.4GHz、ブーストクロック5.3GHzを誇示するとされている。最近のGeekbench 5の投稿では、Core i7-13700KがAMDのフラッグシップモデルRyzen 9 5950Xを上回るという結果も見られた。
しかし、このベンチマークテスト結果も、どうやらDDR4メモリが足かせ後なっており、Raptor Lakeチップの本領を発揮できていなかったことが新たなベンチマークテストから明らかになった。
DDR4 を搭載した Core i7-13700K システムでは ASRock Z690 Steel Legend WiFi 6E が使用されたのに対し、DDR5 テストベッドでは Z690 Steel Legend WiFi 6E/D5 が使用された。この2つのマザーボードは、メモリスロットを除いて同じものとなる。つまり、DDR4とDDR5の違いによる性能比較が行えることになる。DDR4系はDDR4-3200メモリ、DDR5系はRaptor LakeのネイティブでサポートされているデータレートであるDDR5-5200メモリが採用された。Geekbench 5のエントリから、両システムとも32GB(2x16GB)のメモリを搭載していることがわかるので、結果は同等であることがわかる。残念ながら、Geekbench 5では、メモリモジュールのモデルやタイミングなど、詳細には触れられていない。そのため、16GBのDDR4メモリモジュールがシングルランクなのかデュアルランクなのかはわからない。
ベンチマークテストの結果、Core i7-13700Kのシングルコア性能では、DDR5はあまり効果がないことがわかった。DDR5システムは、DDR4システムよりも1%遅かったが、これは誤差の範囲内である。しかし、マルチコア性能はDDR5系が最大で20%高い性能を発揮した。これはかなり大きな性能差だ。
DDR5の価格も段々と下がってきており、DDR5とDDR4の価格差は、いずれ時間の経過とともに小さくなっていくだろうが、完全にDDR5がDDR4と同じコストになることはないだろう。前者は製造コストがはるかに高く、電力管理集積回路(PMIC)やVRMなどのコンポーネントが追加された、より複雑な設計を特徴としている。
DDR5メモリは、ワークロードによっては、Alder Lakeの全体的なパフォーマンスを高めることが出来ている。ただし、Golden CoveコアのAlder Lakeとは異なり、Raptor LakeではRaptor Coveコアを採用しており、メモリに対して異なる挙動を示す可能性がある。今回のベンチマークテストによるDDR5での結果は期待できそうだが、DDR5が割高である事を考えると、その価格差が果たして性能差に見合った物になるのかどうかを判断するには、徹底したテストが必要になるだろう。
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