2022年4月、Intelは“エネルギー効率の高いブロックチェーンハッシング”を意味する新しいASIC(特定用途向け集積回路)のBlockscaleシリーズを発表した。これはつまり、ビットコインなどの暗号通貨をマイニングするために設計されたチップである。同社は、Blockscale 1000シリーズASICを電力使用量を下げ、当時続いていたGPUの不足を緩和するのに役立つと位置づけていた。
「ASICベースのシステムとSHA-256ハッシュに対応したプルーフオブワークアルゴリズムの場合、Intel Blockscale ASICは、スケーラビリティと持続可能性を実現するために必要なエネルギー効率とコンピューティングパワーを提供します。そして、この技術を支えるシリコンの性質を考えると、Intelは、新しいCPUやGPUの供給を損なうことなく、これを大量に供給することができるでしょう」と、当時Intelはブログ投稿で述べていた。
だが本日、IntelはBlockscale 1000チップを静かに製造中止し、同社はTom’s Hardwareに対し、アップグレードや代替品の導入は当面予定していないことを明らかにした。同社は、すでにBlockscaleチップを購入した企業を「引き続きサポートする」としているが、最初の発表から1年も経たないうちに、このプロジェクトはフェードアウトしていくようだ。
ビットコインのマイニングのようなブロックチェーンのハッシュ処理については、GPUがCPUよりも優れているのと同様に、ASICの方がGPUよりも優れている。だがGPUではマイニングもゲームもできるが、ASICでは1つのことにしか使えない。しかし、その代わり、GPUよりも低消費電力で高速なハッシュレートを実現することができるのだ。
Blockscaleプロジェクトは、IntelのAccelerated Computing Systems and Graphics Group(AXG)内の専門チームである「Custom Compute Group」出身で、2022年2月にAXGマネージャーのRaja Koduri氏が発表した。しかし、12月にはAXGは分割され、Intelの既存のクライアントコンピューティングとデータセンターのチームに組み込まれ、Koduri氏は3月末に同社を去っている。
通貨の価値は2022年4月の46,000ドル近くから12月には17,000ドル以下にまで落ち込み、通貨の価値が下がれば下がるほど、マイニングを行うために必要なハードウェア投資と電力使用を正当化するのは難しくなる。2023年には30,000ドル強まで回復したが、それでも2021年末のピーク時の64,000ドルからは大幅に減少している。
IntelはTom’s Hardwareの取材に対し、Blockscaleチップを廃止するのは、新興のファウンドリ事業と「IDF 2.0」戦略(Intelの工場をサードパーティに使わせることでより利益を上げようとする試み)に集中するためでもあると述べている。IntelとArmは今月初め、Intelの次期18Aプロセスを使ってアームチップを設計・製造できるようになると発表している。
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