電子機器用の薄膜コーティングを専門としているHZO社は、CES2024で同社のコーティング・プロセスの有効性を実証するため、Raspberry Piを水没させたまま動作させるという、驚くべきデモンストレーションを行った。なんと、同社のコーティングを施されたボードは問題なく作動し続けたのだ。
HZOはパリレンを使用した革新的なコーティング・サービスを提供している。パリレンは真空蒸着プロセスによって「分子レベル」のフィルムとして塗布される。パリレンは他のコーティング材料よりも薄く、裸の回路基板を含む電子デバイスを均一かつ確実に覆うことができる。同社はCES 2024の期間中、パリレン・コーティングによる保護を実演し、ハードウェア企業がRaspberry Pi 4の基板を適切な防水コンピュータ・プロジェクトに変えられることを示した。
HZOは、化学気相成長法(CVD)によるパリレン・コーティングプロセスの仕組みについて説明している。このプロセスは、前駆物質を気体になるまで加熱することから始まる。このガスをさらに加熱して反応性モノマーを形成する。「室温に近い温度」に保たれた蒸着室では、このモノマーが内部のあらゆるものに定着する。
HZOによれば、モノマーは互いに隣り合うと結合し、ポリマー被膜を形成する。ポリマー被膜の厚さは2ミクロンから25ミクロンが一般的で、室温で機能するため、壊れやすい電子部品にも安全に使用できる。HZOは、パリレン・コーティングは「信頼性が高く」、重合中に有害な化学副生成物が出ないことを強調している。
HZOの担当者は、Raspberry Piのような電子デバイスは成膜室で約15時間必要であると述べている。
CVDプロセスは、車載エレクトロニクスやセンサー、スマートホームデバイス、家電、バイオセンサーなど、多様な用途がある。CES 2024で展示されたパリレンでコーティングされたRaspberry Pi 4は、水槽の中で機能し、USB-C電源ケーブルと、同じくパリレンでコーティングされたビデオ出力用のmicroHDMIケーブルに安全に接続された。
ただし、HZOのパリレンコーティング・ソリューションは、個人のハードウェア愛好家やエンドユーザー向けではない。同社は電子機器メーカーやDell、Nikeなどの大企業と協力し、同社の装置を使ったコーティング・サービス、あるいはコーティング装置そのものを提供している。コーティングチャンバー内には同時に多くの異なる電子機器が存在するため、CVDプロセスは膨大な量に適用できるとHZOは提案している。
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