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太陽光で水を浄化するヘチマに着想を得たハイドロゲル

これまでも、太陽光で水を蒸発させることで浄水する方法は提案されているが、曇りの日には効果がなく、またプロセス自体もゆっくりとしたものだ。しかし、ヘチマにヒントを得た新しいハイドロゲルは、太陽光を利用して、人間が一日に必要とする量の水を処理することができるとのことだ。

ハイドロゲルは、水を含んだゼリーのような素材だ。その一種である、「温度応答性ハイドロゲル」と呼ばれる素材は、低温で汚れた水を吸収し、加熱すると浄化された状態で排出する性質を持っており、この太陽光による浄水プロセスに用いることが出来れば素晴らしい成果を上げることが期待される。しかし、このようなゲルの多くは孔が閉じているため、多くの人が必要とするほど速く水を処理することができないという。

今回開発されたハイドロゲルは、その点を改善することを目指して開発された。そこで参考にされたのが、天然のへちまだ。キュウリの中まであるへちまは、身体を洗うスポンジのように使われることもあるなど、非常に多くの気孔を持ち、吸水性を備えている。そして、今回研究チームは、このヘチマのような構造を「温度応答性ハイドロゲル」で実現できないかと考えた。

まず、水とグリコールの混合液を独自の重合媒体として使い、大きな孔を持つPNIPAm(ポリN-イソプロピルアクリルアミド)ハイドロゲルを作製した。次に、このゲルの内側の孔を、ポリドーパミン(PDA)とポリサルホベタイン・メタクリレート(PSMBA)という2種類のポリマーでコーティングした。

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ヘチマのハイドロゲルは、貧困地域や災害現場での水質浄化に利用できる可能性がある。 (Credit: Xiaohui Xu / Princeton University)

このゲルは室温で汚染水を吸収し、太陽光で加熱すると10分以内に汚染水の70%を放出した。これは、以前にテストした閉鎖気孔ハイドロゲルの4倍の速度であった。さらに、曇り空を模した照明下でも、ヘチマのゲルは15分から20分以内に同量の水を放出したという。

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このハイドロゲルの浄水速度は、1日に約15リットルの水を浄化することを実現するとができたと、研究者らは述べている。これは、1人の人間が1日に必要とする水の量とほぼ同じだ。また、このハイドロゲルは、汚れや細菌によって効果が低下することがない。これは、ハイドロゲルの表面が滑らかで、汚れや細菌が付着しにくいからだ。また、このハイドロゲルは、太陽光だけで動くので、電気や燃料などのエネルギーを必要とせず、非常に環境にやさしいと言える。

このハイドロゲルは、水が不足している地域や災害時に水分確保の手段として役立つと考えられる。水は、人間の生命を維持するために必要なものだ。しかし、世界には、安全な水にアクセスできない人々がたくさんいる。このハイドロゲルを使えば、太陽光があれば、どこでも水を浄化することができるのだ。このハイドロゲルは、水の問題を解決するための一つの可能性を示している。


論文

参考文献

研究の要旨

ハイドロゲルは、持続可能なオフグリッド水の浄化と採取を含む、エネルギーおよび環境アプリケーションのための有望なソフトマテリアルである。現在、技術移行の障害となっているのは、人間の1日の需要をはるかに下回る低い水生成量である。この課題を克服するために、我々は、様々な汚染源から飲料水を約26 kg m-2 h-1の速度で生成できる、高速応答、防汚、ヘチマにヒントを得た太陽電池吸収ゲル(LSAG)を設計した。LSAGは、エチレングリコール(EG)-水混合液を用いた水処理により室温で製造され、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAm)、ポリドーパミン(PDA)、ポリサルホベタインメタクリル酸(PSBMA)の特性をユニークに統合し、高い光熱応答性とオイルファウリングやバイオファウリングの防止能力を持つオフグリッド水浄化を可能にするものである。EGと水の混合物を使用することは、水輸送を強化したヘチマ状の構造を形成するために重要であった。このLSAGは、太陽光照射1分および0.5分の条件下で、それぞれ10分および20分で貯水量の約70%を放出することができたのは驚くべきことだ。さらに、LSAGが低分子、油、金属、マイクロプラスチックを含む様々な有害物質から水を浄化する能力も実証した。

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