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かつて狩猟しか行ってこなかった人類がここまで発展したのは、農業が果たした役割によるところも大きいだろう。農業をするのは人間だけと思われる人も多いかも知れないが、実はアリ(ハキリアリ)も農業でキノコを栽培している事が研究から分かっている。そこに今回新たに、“人類以外の哺乳類で”農業を実践している動物が発見されたとの研究報告が行われた。

ミナミホリネズミが穴蔵ぐらしをする中で地下の根を手入れして食料を確保しているとの報告

アメリカ大陸に生息するホリネズミの一種であるミナミホリネズミ(Geomys pinetis)は、数百メートルの長さの迷路のようなトンネルを掘っている。このネズミは、食料として収穫する地下の根の手入れをする農民であることが、研究者によって明らかにされた。

COSMOS誌によれば、ミナミホリネズミは大きなトンネルを作るとき、土をひっくり返して空気を送り込み、時間をかけて成長しトンネルに垂れ下がる根をむしゃむしゃ食べるのだという。この行動は高度な農業ではないが、「根の成長に最適な条件を提供する、注意深く管理された食糧生産システムである」、とThe New York Times紙は報じている。

ミナミホリネズミは、モルモットほどの大きさの茶色のげっ歯類である。食餌は根や茎、そして地上の雑草や草だ。ミナミホリネズミは、ほとんどの時間を地中で過ごし、外界に出るのは食べ物を探すときと交尾をすときだけのようだ。

フロリダ大学の科学者たちは、植物ベースの食事で大きなトンネルを作る方法と理由を調べるために、ゲインズビルの牧草地にある3つのミナミホリネズミのトンネル部分の周りに溝を掘り、それぞれの溝にオイル樽を置いて、彼らが外に出ないようにした。そこで、封鎖された部分を写真に撮ったところ、根が伸びてその部分を埋めているのに気づいたとのことだ。

そこで研究チームは、毎日の根の伸びを計算し、根を収穫することでミナミホリネズミのエネルギー需要をどの程度満たせるかを割り出したという。これまでは、ミナミホリネズミはトンネルを作る際に遭遇する根を食べ尽くして生き延びていると考えられていた。計算の結果、トンネルを掘るのに必要なエネルギーは、ミナミホリネズミの食べる根が掘削中に支えるには多すぎるが、すでに掘られた他のトンネルで育った根を食べれば、エネルギー消費を満たすことができるようだ。

ミナミホリネズミは、広大なトンネル網を作り、維持することで、根が生育しやすい環境を作り出しているのだ。また、トンネル内に糞や尿を撒き散らして、成長する根に肥料を与える。フロリダ大学の動物学者で、この研究の筆頭著者であるVeronica Selden氏は声明の中で、「彼らは根が成長するための完璧な環境を提供し、彼らの排泄物を肥料にしているのです」と述べている。ジャガイモ大の哺乳類がぶら下がった根をかじることで、成長を促すこともできるとのことだ。

フロリダ大学の生態学者で研究著者であるFrancis Putz氏は、National Geographic誌に、「太い根はリグニンやセルロースが多く、硬くて、あまり消化が良くありませんが、食いちぎられたところからたくさんの小さな根が生えてきます。こうして生えた根は、味も消化も良いです。根菜類を収穫することで、ミナミホリネズミは、必要なエネルギーの21〜62%を供給することができ、穴を掘る習慣を続けるために必要な残りのカロリーを補うことができます。」と語っている。

専門家の中には、ミナミホリネズミは作物を植えたり、除草したり、分配したりしておらず、どちらも以前から農業には欠かせない要素であるとされ、(菌類を植えるハキリアリや甲虫はこれらを行っていると考えられている)厳密には農業ではないと主張する者もいるが、この新しい研究に携わった研究者は、この発見は他の地上生息のネズミも農業に相当する行動をとる可能性があると見ている。

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