頑固なジャムの瓶がどうしても開かないという経験は誰にでもあるだろう。輪ゴムを使ったり、ぬるま湯につけたりすれば簡単に直るかもしれないが、その瓶が11億6000万ドルの惑星間探査機のモジュールだった場合を想像してみてほしい！NASAのエンジニアがOSIRIS-RExモジュールからサンプルを回収しようとしていたとき、クランプが冷えたまま溶接されているのを発見したのだ！

OSIRIS-RExは、小惑星ベンヌからサンプルを回収して地球に帰還させるNASAのミッションである。探査機は2016年9月に打ち上げられ、複雑かつ大胆なミッションとなった。サンプルを回収するために、探査機は破壊されないように適切な軌道と速度で表面に「キス」し、サンプルを返却するために、OSIRIS-RExは地球のフライバイを完了し、新たな目的地に進む前にサンプルを投下した。感動的なことだ。

サンプルは2023年9月24日、地球の大気圏上空で展開され、無事に地球に帰還した。カプセルはその後、パラシュートで国防総省のユタ試験訓練場に優雅に舞い降りた。カプセルに収められたサンプルは、惑星がどのように形成されたか、生命がどのように誕生したか、小惑星に関する知識を深め、将来起こりうる衝突からどのように身を守ることができるかを理解するのに役立つだろう。

サンプルの収集と回収を成功させた後、カプセルの外にサンプルを出すことがより困難な局面を迎えることになったようだ。 エンジニアたちがタッチ・アンド・ゴー・サンプル採取機構のサンプルヘッドを開けようとしたとき、35個の留め具のうち2個が冷間溶接で閉じられていることがすぐにわかった！

残念なことに、チームはこのような状況に対応できる既製の工具を持っていなかったため、即興で特殊な非磁性ステンレス鋼から新しい工具を自作しなければならなかった。これだけでも大変なのに、サンプルとカプセルを収納する容器のスペースがなかったため、チームの挑戦はさらに困難なものとなった。破損や汚染のリスクを最小限に抑えるため、チームは何度もツールや装置をテストし、改良しなければならなかったからだ。

成功は限定的で、チームが回収できた小惑星サンプルは70グラムにとどまったが、これは目標の60グラムを上回っていた。科学チームは現在、サンプルの一部を使って作業しており、残りのサンプルは将来の研究のために密封されている。

Source

• NASA: NASA’s OSIRIS-REx Team Clears Hurdle to Access Remaining Bennu Sample

この記事は、MARK THOMPSON氏によって執筆され、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス（表示4.0 国際）に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。