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“水”を用いた電子回路が既存の半導体よりも遙かに高速なスイッチング性能を実現

電子回路において、これまでに考案されたことのない、まったく新しいコンセプトのスイッチが開発された。驚くべきは、このスイッチには、なんと“”が用いられていると言うことだ。

ノートPCに水をかける悲劇を考えてみれば、電子機器の動作に水を用いると言うアイデアの奇抜さが想像できるだろう。

全ての電子機器に用いられている半導体であるトランジスタは、電子回路の基本的な構成要素であり、その基本動作は「スイッチ」である。電気的にON/OFFさせることが可能であり、これによって「0」と「1」を表す事が出来、膨大な数を組み合わせることで今日のCPUやGPUを作り上げている。コンピュータの速度は、このスイッチング速度も要素の1つとなる。

ドイツのルール大学ボーフム校の研究者らは、今回“水”を使った超高速スイッチを開発した。

ヨウ化物イオンを溶かした水、つまり塩水を特殊なノズルによって厚さ数ミクロンの平らなジェット(ホースの先を潰して水を出すような形)を噴出させ、このウォータージェットに対して、短時間で強力なレーザーパルスを照射する。すると、レーザーが水に溶けている塩から電子を解放し、水はテラヘルツ帯の周波数で突然導電性を帯び、金属のような性質を示すようになるという。

続いて2本目のレーザーを照射すると、水の状態を読み取り、既存のトランジスタのような「オン」と「オフ」を提供することができるということだ。

レーザーパルスは非常に速いので、水の状態は数ピコ秒(1兆分の1秒)で切り替わる。これは、テラヘルツ(THz)帯のコンピューター速度に相当し、既存のどの半導体よりもはるかに高速なものである。

これは現時点でのコンセプトであり、水を使った回路がどのように実用化されるかは未知数だが、電子回路に水を用いるというまったく新しいコンセプトは、可能性を切り拓く物に違いないだろう。


論文

参考文献

研究の要旨

研究の要旨

超高速スイッチは、基礎研究や技術開発に不可欠なデバイスである。ここでは、ヨウ化ナトリウムの水溶液がこの目的に使用できることを実証した。400 nmの強い光パルスで励起すると、この水溶液はテラヘルツ領域、およそ1テラヘルツで大きく高速な応答を示す。10〜50℃の9M NaI溶液では、テラヘルツ帯のピーク透過率の相対変化がポンプとプローブの重なりで20%低下し、約70fsの速い時定数で回復する。液体の光学特性はテラヘルツ周期よりも短い時間スケールで変化するため、透過するテラヘルツ磁場の形状を調整することが可能である。このようにして、約1テラヘルツから3テラヘルツ以上へのテラヘルツ波の周波数アップを4%の効率で実証した。

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