Igor’s Labが入手したIntelのモバイルPC向け第14世代Core「Meteor Lake」プラットフォームの詳細な概要によると、同社が来年市場に投入する予定のCPUについて、大規模な進歩が見られる事が記されている。
Intel第14世代MeteorLakeモバイル版CPUは最大14コア、Xe-LPG GPU、LPDDR5X-7467サポート
Intelの第14世代Core「Meteor Lake」プロセッサは、同社初のマルチタイルデザインを採用したコンシューマ向けCPUであり、Intel 4プロセスを採用した最初の製品になる予定だ。しかし、同社はこれまで、Meteor Lakeプラットフォームの中身を詳しく説明してこなかった。
IntelのMeteor Lake-U/P/Hモバイルプロセッサは、Intel 4プロセス技術(別名7nm EUV)で製造されたコンピュートタイル(CPUコア)、TSMCがN3ノードを用いて製造したグラフィックスタイル、SoCタイル、I/Oタイルの4タイルが、同社のFoveros 3D 技術を用いて互いに同一のインターポーザ上で接続された構成となる。
CPUはトリプルハイブリッドコア設計 – Redwood Cove、Crestmont、低電力E-Core
CPUタイルは、Meteor Lakeのコンピュートタイルのダイショットに見られるように、高性能なRedwood Cove Pコアが最大6個と、Intel 4を用いて実装されたエネルギー効率の高いEコアCrestmontが最大8個搭載されるということが大きな特徴だろう。一方、Igor’s Labが複製したスライドによれば、このプラットフォームには、いわゆる低電力のエネルギー効率の高いコア(Low Power Efficientコア)も搭載されるという。メインストリームのMeteor Lake-Uコアは最大12コアを搭載し、Meteor Lake-PとMeteor Lake-Hは最大14コアがアクティブになるようだ。
これについて、Twitterのリーカーである@OneRaichu氏は、LP Eコアが2つあり、低消費電力の製造プロセスを用いて実装されたSoCタイルに配置されていると述べている。Meteor Lakeのコンピュートタイルが8個のEコアを搭載していることを考えると、LP Eコアがプラットフォームの総コア数に含まれているのか、Meteor Lake-P/H SKUに存在するのかは不明だ。とはいえ、超低消費電力の汎用CPUコアをSoCタイルに搭載することは、PCが接続されたスタンバイモードでハイバネーション状態になってもバックグラウンドで動作するアプリケーションにとっては理にかなっていることだろう。
IntelのMeteor Lakeモバイルプラットフォームが、Armのスマートフォン向けプラットフォームに匹敵する、3種類のコアを搭載し、より高いエネルギー効率を実現する可能性がありそうだ。
GPUはXe-LPG GPUアーキテクチャを採用
GPUについて、TSMCがN3製造プロセスで製造するXe-HPG/Xe-LPGアーキテクチャと最大128EUを特徴とする独立したグラフィックスタイルとなる。128EUを潜在的に高クロックで利用することで、IntelのMeteor LakeプロセッサのGPU性能は、自社のディスクリートArc Alchemist A370Mグラフィックスチップの性能に匹敵するものになる可能性がある。
Meteor LakeのグラフィックスタイルによるXe-HPGアーキテクチャの使用は、Coelacanth’s Dream氏によって発見されたIntelのLinuxパッチの1つによって確認されていた。一方、IntelのXe-LPGについては、今回初めて言及が見られる。
Xe-LPGのアーキテクチャについて確かな情報はないが、ゲーム向けのXe-HPGのアーキテクチャ機能(例えば、ハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシング)を継承しつつ、低消費電力のライブラリを使って実装しているのではないかと推測される。さらに、グラフィックスタイルには、メディア処理エンジンとディスプレイパイプラインの低消費電力実装がなされているようだ。これは、「low power AV1 encode」や「enhanced dual low power eDP 1.4b」と呼ばれる機能によってある程度裏付けされている。
不思議なのは、下のスライドではUSB-C上のHDMI 2.1およびDisplayPort 2.1のサポートについて言及されている。だが、VESAはDisplayPort 2.1というものを発表していないので、Intelが批准さえされていない全く新しい規格をサポートする予定なのか、それともこれがタイプミスなのかは不明だ。(そもそも非公式の情報ではあるのだが)。
モバイルでのPCIe 5.0サポート
現在、Intelはデスクトップの第12世代Core「Alder Lake」プロセッサでPCIe 5.0インターフェイスのみをサポートしているが、モバイルのAlder Lake-HパーツはPCIe 4.0のみをサポートしている。Meteor Lake-Hで、IntelはPCIe 5.0 x8接続をモバイルプラットフォームに導入し、ゲーム向けノートPCの性能を向上させる予定だ。一方、Meteor Lake-U/Pでは、やはりPCIe 5.0をサポートしないようだ。
SoCのその他について – 超高速メモリとビルトインAI
Intelは長年、自社のプロセッサに、物理的なインターフェースだけでなく、コントローラーを搭載したPCH(Platform Controller Hub)を搭載してきた。第14世代Core「Meteor Lake」プラットフォームでは、PCHをプロセッサ全体の制御を担当するSoC(System On Chip)チップレットと実際のI/Oインターフェイスの2つに分割してしまうようだ。
SoCタイルは、各種コントローラの消費電力を抑えるために低消費電力プロセス技術で作られているが、このチップレットが自社製なのかTSMC製なのかは不明だ。
Meteor LakeのSoCタイルには、最大64GBのLPDDR5X-7467だけでなく、最大96GBのDDR5-5600をサポートする新しいメモリコントローラが搭載されている。サポートするチャンネル数については不明だ。
Meteor LakeのSoCタイルの他の特徴は、IntelのVPU 2.7推論アクセラレータとGaussian and Neural Accelerator (GNA) 3.5ユニットが結合されており、主にノイズ抑制などに使われることだ。また、このSoCには、NIST SP800-193の要件に準拠したIntelの新しい組み込みセキュリティエンジンが搭載されている。
IntelのノートPC向け第14世代Core「Meteor Lake」は、同社にとって画期的なプラットフォームとなる可能性がある。この報道が正しければ、まったく新しいマルチタイルの物理設計により、まったく新しいCPUとGPUのマイクロアーキテクチャ、そして更なる低消費電力のEコアがもたらされることになる。ただし、これらは非公式な情報である事を忘れないでおいた方がいいだろう。
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