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神経や筋肉、脳さえもないにもかかわらず、海綿はくしゃみのように粘液の塊を体外に排出する能力をもっている。この行動は以前から科学者には知られていたが、その仕組みはこれまで謎のままであった。

今回、「Current Biology」誌に掲載された研究により、海綿動物は不要な粒子を取り除くために、“Ostia”と呼ばれる海水の流入孔を介して粘液をゆっくりと排出することが明らかになった。

アムステルダム大学の海洋生物学者で論文の主執筆者であるJasper de Goeij氏は、「我々のデータは、くしゃみは海綿が自分自身を清潔に保つために進化した適応であることを示唆しています。ハッキリさせておくと、海綿は人間のようにくしゃみをしません。海綿のくしゃみは30分かかります。しかし、スポンジも人間のくしゃみも、廃棄物処理のメカニズムとして存在しているのです。」と声明で述べている。

研究チームは、その筒のような形からストーブ・パイプ・スポンジ(Stove Pipe Sponge)と呼ばれるカリブ海のスポンジAplysina archeriと、インド太平洋の別の種Chelonaplysilla属から排出された粘液のタイムラプスビデオを記録した。鼻水は生物の鼻孔から出て、スポンジ表面の決められた道(「粘液ハイウェー」)を通り、紐状の塊になって蓄積される。海綿の組織は時折収縮し、この塊を周囲の水中に押し出す。

「スポンジは、堆積物を捕捉する粘液を、流れ込んでくる水の方向とは逆に積極的に動かしていたのだ」と著者らは書いている。

「粘液の約81パーセントは無機質の堆積物であった。残りの19パーセントは炭素と窒素を多く含み、エビや小型甲殻類のような他の動物が食べるのに適していました。」とアムステルダム大学のNiklas Kornder氏はNew Scientist誌に語っている。

「スポンジがくしゃみをするたびに、他の生物が利用できる資源が生まれるのです。そして、それは、実際に、非常に複雑な生態系を持つ、非常に美しいサンゴ礁で見られる、驚くべき多様性の一部を作り出すかもしれません。」と、Kornder氏は同誌に語っている。

この研究は、海綿粘液に関して、それが他の動物の鼻水と似ているのか、どの細胞がそれを作っているのか、何がくしゃみを誘発するのかなど、さらなる疑問を投げかけている。

研究者達は、2つのスポンジ種がくしゃみをしているのを記録したが、彼らは、ほとんどのスポンジがこの能力を持っていると考えている。

研究の要旨

現存する最古の多細胞生物である海綿は、多くの水生生態系において栄養塩の循環に重要な役割を担っている。固形廃棄物による内部フィルターシステムの目詰まりを防ぐ戦略をとる必要があるが、セルフクリーニング機構はほとんど分かっていない。一般に、海綿は流出する水と一緒に固形物を排出すると考えられているが、ここでは、カリブ海のチューブスポンジ Aplysina archeri において、全く異なる粒子除去メカニズムが明らかにされたタイムラプスビデオと海綿廃棄物の分析を紹介する。この海綿は、粒子を捕捉した粘液を内部の水の流れに逆らって活発に動かし、「くしゃみ」と表現される周期的な表面収縮によって海水流入孔(オスティア)から周囲の水に排出する。視覚的には、粘液を含んだ粒子が絶えず流れているように見え、くしゃみによってこの粒子状廃棄物を流し、その結果、海綿付着性動物によって活発に消費されるデトリタスフラックスを顕著に発生させることが分かった。この新しいデータを用いて、カリブ海のサンゴ礁に豊富に存在するこの海綿のデトリタス生産量を推定する。最後に、なぜ海綿の吸入孔からの老廃物除去が海綿に共通する特徴であると考えられるかについて述べ、海綿のプロセスをヒトを含む他の動物における粘液輸送の同等のメカニズムと比較する。

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