中国の税関総署は、国内における輸出入の課税と管理を担っている。そのデータによると、中国の半導体産業の成長を減速させることを目的としたアメリカの対中制裁が実を結び始めており、アジア諸国による機器の輸入は2022年に大きく減少した。同時に、中国最大のチップメーカーであるセミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル・コーポレーション(SMIC)が北京に新しい製造工場を建設する能力も制約され、量産が6カ月遅れる可能性が出てきたという。
今月初めに発表された2022年のデータでは、国内の半導体装置の輸入総額は350億ドルで、年間15%の減少を記録したことが明らかになった。2021年の中国企業および関連団体の輸入額は417億ドルで、昨年の輸入額の大半はチップ製造装置によるものだった。データによると、輸入額350億ドルのうち、半分以上の190億ドルが装置輸入を占めている。
このデータは、米国の制裁措置により、中国への特定のチップ製造装置の販売が制限され、オランダの半導体製造装置メーカーASMLが、先進の極端紫外線(EUV)装置の中国への販売も禁止された後のものだ。これらの制限により、SMICは製造能力を拡大することができず、JW Insightsの別のレポートでは、北京の新工場についてSMICの経営陣が言及している。
7ナノメートルのチップ製造技術でチップを作る予定のSMICは、深セン、上海、天津の3カ所に新工場を建設中だ。同時に、北京の新ファブにもチップ製造設備を導入しているが、同社によると、アメリカの制裁でこの設備は遅れているという。
その内容によると、機器の納入の遅れにより、ファブのスケジュールが延期されており、今月6日の発言は、1月にSMICの経営陣が機器の「ボトルネック」によりファブの進捗が最大で6ヶ月遅れるとの見解を示していたことに続くものだ。
SMICは最近、米国の制裁に加え、世界の半導体産業の減速に対処しなければならず、最悪の事態に直面している。この減速は、台湾半導体製造会社(TSMC)の収益にも悪影響を及ぼすと予想され、コロナウイルスの流行に伴う過剰出荷を消費者が消化し続ける中、AMDやNVIDIAといった企業が大幅な収益減少を報告する原因となった。
半導体分野の貿易は、中国のチップ製造装置の輸入が中心であったが、インドや台湾などの地域にも輸出している。しかし、その一方で、現地の半導体産業は、設備不足に加え、人材不足にも直面しているとの試算もある。
チップ分野では、4万人の有資格者とともに、最大70万人の熟練労働者が必要とされているとの推計がある。TSMC、Intel、Samsungといったグローバル企業と共同でチップ製造の国産化を目指すと当局が宣言しているにもかかわらず、この不足はチップの設計・開発の妨げになっている。
半導体産業協会(SIA)が発表した1月の世界のチップ売上高は18.5%減少し、中でも中国が最も大きな打撃を受け、年間32%減少したことが明らかになっている。
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