TrendForceは、最新のレポートにおいて、中国のYMTCのNAND出荷量が、2023年には出荷量予測がこれまでの60%増から7%減になると報告しており、YMTCがNAND市場から撤退する可能性さえ示唆している。
TrendForceによるこの予測は、先日YMTCが米国の「エンティティ・リスト」入りしたことを受けてのものとなる。エンティティ・リスト入りによって、YMTCは、米国のパートナーから装置部品や技術サポートを購入することが難しく、NANDチップの生産が制約されることになる。
128層、232層プロセスの歩留まりを上げることが難しくなり、232層より多層の3D NANDチップの開発にも支障をきたす。そのためには新しい装置が必要だが、欧米のサプライヤーはYMTCに販売できるものが制限されることになる。TrendForceは、「オランダと日本の装置プロバイダーが米国の制裁体制に加わり、中国の顧客へのDUV液浸露光装置の販売を停止する可能性がある。」と述べている。
このことから、スマートフォンやPCベンダーはYMTC NANDの使用について、これを控える方向で考え始めており、他で購入する可能性が生じてきた。TrendForceは、「YMTCが将来的に中国本土内のみの営業に限定される可能性が高い」と見ている。
YMTCのエンティティ・リスト入りの影響は甚大だ。TrendForceは、2022年初頭にはYMTCの2023年のNANDビット出荷が前年比60%増になると見ていたが、今回の予測は7%減である。これにより、TrendForceは2023年の市場全体のビット供給成長率を20.2%に修正し、2022年8月の予測値32.1%から引き下げた。
またTrendForceは、2024年にはYMTCの競合他社であるKioxia/Western Digital、Micron、Samsung、Sk hynix/Solidigmが232層レベルを超えて、最大300層以上の3D NANDチップを作っており、YMTCは技術的にも費用対効果でも不利になり市場シェアを侵食されるだろうと予測している。
YMTCはエンティティ・リストから削除されない限り、2024年に3D NAND市場から完全に撤退する可能性さえあると、TrendForceは指摘する。2D NANDの製造に戻るか、NANDの代わりに論理集積回路の製造を始める可能性があるようだ。
YMTCは不利な立場に立たされている。同社のNANDチップが、米国の国家安全保障を脅かすような製品に使われていないことを米国に納得させられない限り、リストの存在は同社のビジネスの可能性を潰しかねないし、おそらく潰されるだろう。Huawei社は、このような事態を引き起こす可能性があることを示す実例である。
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