中国は、同国で設計された龍芯(Loongson)アーキテクチャを採用したチップの輸出を禁止していると報じられた。このチップは、AMDのRyzen 5000 CPUに匹敵する性能を誇る物で、ロシア国内ではこのレベルのCPUを作り出すことが出来ない事から、同国にとって大きな影響を及ぼす決定だ。
Kommersant紙が報じたところによると、中国政府は、中国で製造された龍芯チップのロシアへの供給を停止することを決定した。このチップは、現在中国で生産されているものの中で最も高度なものだ。
ロシアへの制裁は、すでにAMD、Intel、NVIDIAなどの米国のチップ企業が、米国政府による対ロシア制裁を受けてロシアでの販売を停止している。今回の決定はそれにならう形だ。とはいえ、Kommersant紙のインタビューに応じた関係者は、龍芯プロセッサを使用する予定のプロジェクトはまだ始まっていないと述べ、中国の決定を軽視しているようだ。
ただし、この決定には疑問も残る。
1つは、中国とロシアの関係は、ロシアのウクライナ侵攻後も良好(むしろ以前よりも強固になった可能性)であることからだ。ロシアのウクライナへの不法侵攻をめぐる国際的な圧力に直面し、「無制限」の提携を宣言していた。もし中国がロシアにチップを供給しないのであれば、このパートナーシップに疑問も残る。
龍芯チップを製造しているのは、北京に本社を置き、2001年から製品設計を行っている中国のLoongson Technology Corporation Ltd.である。Loongson社は、他の中国企業と同様、半導体製造に関して厳しい制約を受けている。中国は最新の製造技術で世界から遅れをとっており、最大のチップ製造会社である国際半導体製造株式会社(SMIC)には、7ナノメートルプロセスノードを超えるツールはない。
Loongsonの最新製品は12ナノメートルプロセスで作られており、IntelとAMDの両方から3世代遅れていることが確認されている。さらに、中国企業は、今後の製品である6000シリーズチップを通じて波紋を広げている。いくつかのベンチマークによると、これらは性能面でAMDのZen 3製品に匹敵することができるそうだ。Zen 3のラインナップは2020年にデビューし、その後、AMDは2022年8月に発表したZen 4に進んでいる。
中国の禁止令に関しては、他の国も含まれており、中国の軍事インフラで使用されている製品が、気密性の高さから他の国でも使用されないようにすることを目的としている。
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