Phoronixによると、Googleは、CPUからのストリーミング、レンダリング、またはレコーディング時のエンコード時間を劇的に改善する新しいAOM-AV1アップデート(バージョン3.5)をリリースした。このアップデートにより、エンコード時間が最大で34%も改善されるとのことだ。
この劇的な改善により、既にYouTubeなど、世界の主要なビデオプラットフォームで支持されているこのコーデックは、更なる普及に拍車がかかることだろう。さらに、Intel の Arc Alchemist GPU や、最も重要な NVIDIAのRTX4000シリーズ GPU など、最新のディスクリート GPU で AV1 ハードウェアアクセラレーションが全面的にサポートされていることも確認されている。
解像度にもよるが、新しいアップデートによりエンコード時間が20%から30%改善された。例えば、1080Pでは、16スレッドの処理によるエンコード時間が18%から34%短縮されている。4Kでは、32スレッドでレンダリング時間が18%から20%改善された。Googleは、多量のマルチスレッド構成にFrame Parallel Encodingを追加することで、この劇的な改善をもたらしている。またGoogleは、他の分野、特にリアルタイムエンコーディングにおいてAV1の性能向上に寄与するいくつかの改善も加えている。
例を挙げると、OBSなどのプログラムにおけるCPU使用率が、主に16CPUスレッド搭載のシステムで低減されている。その結果、ユーザーはそのCPUリソースを他のタスクに使用したり、追加のパフォーマンスコストなしにビデオの品質をさらに高めたりすることができるようになった。ビデオ編集をしていて、AV1でレンダリングする場合、16スレッド以上のCPUを搭載していれば、処理時間は大幅に短縮されるだろう。
AV1の速度向上は、これ以上ないタイミングで実現された。AV1ハードウェアアクセラレーションエンジンが導入され、コンテンツ制作者がディスクリートGPUを使用してAV1コーデックでコンテンツを録画・配信できるようになったため、ビデオ業界は今年、これまで以上にAV1への移行を積極化させている。
AV1は、H.264ビデオコーデックに代わる新たな可能性を秘めたものとして2018年に登場した。非常に魅力的な機能セットにより、瞬く間にメインストリームに躍り出た。1つは、完全にオープンソースであるため、誰でも無料で使用できること。さらにH.264と比較して最大50%の圧縮率を実現。また、AV1動画のファイルサイズを大幅に縮小している。
AV1のハードウェアアクセラレーションについては、Intel Arc AシリーズGPUが初めてAV1ハードウェアアクセラレーションエンジンを搭載し、NVIDIAの誇るNVENC H.264エンコーダーを含む競合他社よりも劇的なビデオ品質の向上を実現した。しかし今回、NVIDIAはRTX4000シリーズ GPU で AV1 エンコーディングを初めてサポートし、Intelと同じ土俵に立った。
ディスクリートGPUとCPU上のソフトウェアエンコードの両方にAV1エンコーディングが存在する今、AV1がH.264の完全な代替品となるための舞台を用意し、AV1エンコーディングを非常に身近なものにしてくれる。新しいAV1パフォーマンスのアップデートは、その地位を絶対的な物にするだろう。
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