Qualcommは本日、Appleと、2026年までに発売されるAppleのスマートフォンやその他の製品向けに5GモデムRFチップを供給する延長契約を締結したことを発表した。これは、両社が5Gモデム契約をさらに3年間延長したことを意味する。
Appleはかねてより、自社でモデムを開発し、Qualcommへの依存を終わらせたいと考えている事が半ば公然の秘密となっていたが、少なくとも今後数年間は、QualcommのSnapdragonモデムがAppleのモバイル製品ラインナップの中核であり続けるということになる。
この発表のタイミングは、Appleが毎年秋に開催するiPhoneイベント(今年のタイトルは「Wonderlust」)の前日という絶妙なタイミングとなった。明日発表されると予想されるiPhone 15シリーズには間違いなくQualcommの5GモデムとRFフロントエンドの何らかのバージョンが使用されるが、それがより印象づけられる形だ。
Apple独自モデム開発の難航
Appleはしばらくの間、カスタム5Gモデムチップの製造に取り組んできた。同社は2019年にQualcommの特許ライセンス慣行をめぐる訴訟で和解したわずか3カ月後に、Intelのスマートフォンモデム事業の「大部分」を買収し、2021年には5G iPhoneモデムを製造するためにチップ製造大手TSMCと交渉していると報じられていた。
ここで重要になってくるのが、先日のHuaweiのMate 60デバイスの発表だ。米国主導の厳しい輸出規制が続いているにもかかわらず、同社は中国国産のKiring 9000sチップを搭載しており、加えてAppleでもなしえていない国産の5Gチップを製造した可能性がある。これはQualcommにとっても打撃だろう。そうした点で、今回のAppleとの提携は大きな意味を持つ。
ただし、今回の供給契約はQualcommにとってプラスであるにもかかわらず、将来的に自社のモデムだけがAppleに採用されるとは考えていない。Qualcommの長期財務計画仮定声明では、2026年にAppleが発売するスマートフォンに使用されるモデムのシェアはQualcommの20%にとどまる可能性があると提案している。
発表に付随する補足説明では、2019年4月に発効したグローバル特許ライセンス契約は、今回の買収後も「変更はない」と説明されている。
CNBCは、UBSがAppleが2022年に19億ドルを支払ったと推定していると報じているAppleとQualcomm間の直接ライセンスは6年間のもので、さらに延長するための2年間のオプションが含まれている。
Qualcommの2022年の売上442億ドルのうち、約21%がAppleからのものであると推測されている。モデム契約の延長により、Qualcommは、Appleが独自のモデム設計に移行した場合、枯渇することになる数十億ドルの収入を維持できることになる。
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