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1週間先に起こりうる犯罪を約90%の精度で予測出来るアルゴリズムが開発された

シカゴ大学の研究者によって、犯罪を予測する新たなアルゴリズムが開発された。これは、暴力や窃盗・強盗などの犯罪に関する公開データから時間と地理的位置パターンを学習し、犯罪を予測するものだという。そして、このモデルは、1週間先に起こりうる犯罪を約90%の精度で予測することができるとのことだ。

これまでのアルゴリズムで考慮されていなかった要素を加え、予測精度を向上させた

犯罪予測と言えば、映画『マイノリティ・リポート』や、TVアニメ『PSYCHO-PASS』が思い出される。これらの作品では、その利便性と共に、それを使ったディストピア的世界への批判が描かれていたが、実際にそういった犯罪予測をAIがする世界はそう遠くないのかも知れない。

シカゴ警察は2012年に学術研究者の協力を得て「犯罪・被害リスクモデル」を導入した。このモデルは、年齢や逮捕歴などの要素を用いて、潜在的な加害者とその被害者のリストを作成し、さらにリストされた人物にスコアを割り当てて、法執行機関が予測される加害者とその被害者の追跡を緊急に行うのに役立てたものだった。

だが実際の成果は今ひとつだった。後の調査で明らかになったように、リストに掲載された加害者とされる人物のほぼ半数は、武器の不法所持で起訴されたことがなく、また、これまで重大な犯罪で起訴されたことがない人物もいたという。2019年のTechnology Reviewのレポートでは、個人を刑務所に送るべきかどうかを判断するリスク評価アルゴリズムが、歴史的に偏ったデータに基づいて訓練されていることが詳細に説明されている。

犯罪予測については、既に日本でも2021年の東京オリンピック開催に先立ち、警察庁が人工知能(A.I.)ベースの技術を導入し、犯罪を事前に予測することを検討している。とはいえ、日本の犯罪予測AIに関しては、まだまだ欧米諸国に比べると遅れているとの意見も多い。ここでも、入力層と出力層に関するデータの的確性が重要とされている。

そこで、Ishanu Chattopadhyay助教授率いるシカゴ大学の研究者たちは、アルゴリズムを構築しようとしたとき、過去の失敗を避けようと考えたようだ。

新しいアルゴリズムはどのように機能するのか

このアルゴリズムは、都市を1,000平方フィート(304㎡)のタイルに分割し、暴行や窃盗、強盗などの犯罪に関する過去のデータを使って、将来の出来事を予測するという。

これまでの犯罪予測では、犯罪が「ホットスポット」で発生し、それが周辺地域に広がっていくという疫病的・地震的なアプローチがとられることが多かった。しかし、これらの手法では、都市の複雑な社会環境は考慮されず、犯罪と警察による取り締まりの効果との関係も考慮されていない。

社会学者で共著者のJames Evans博士は、「空間モデルは、都市の自然なトポロジーを無視している。交通ネットワークは、道路、歩道、電車やバスの路線を尊重します。コミュニケーション・ネットワークは、社会経済的背景が類似した地域を対象としています。我々のモデルは、これらのつながりを発見することを可能にします。」と語っている。

今回のモデルはそういったこれまでのアルゴリズムによる予測とは異なるとのことだ。

新たに考案されたアルゴリズムでは、他の多くの要因を考慮して過去の犯罪報告を分析し、シカゴの犯罪の可能性を90%の精度で予測したとのことだ。このモデルは、ロサンゼルス、アトランタ、フィラデルフィアなどの大都市を含む米国内の8つの都市での犯罪予測にも使用され、これらのシナリオでもうまく機能したという。

機械学習と人工知能の進歩により、これらのツールを犯罪抑止のための予測的な取り締まりに利用したいと考える政府からの関心が高まっている。しかし、犯罪予測に関する初期の取り組みは、警察の執行における制度的な偏りや、犯罪や社会との複雑な関係を考慮していないため、賛否両論があるのが現状だ。

Chattopadhyay氏は、このツールの精度が高いからといって、犯罪を未然に防ぐために警察署が積極的に近隣に出動して、法執行を指示するために使うべきものではないことを注意深く述べている。これはむしろ、犯罪に対処するための都市政策や警察戦略の道具として用いるべきであるとのことだ。

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