CNBCの報道によると、Amazonは、Titanと呼ばれる独自の大規模言語モデル(LLM)とBedrockと呼ばれるクラウドコンピューティングサービスを含む新しいAI技術群を発表した。競合のMicrosoftとGoogleがAIチャットボットを検索エンジンやクラウド業務に統合する中、AmazonもこのAIレースに参加する事を決定したようだ。
最近、OpenAIのGPT-4や、命令で調整されるChatGPTのようなLLMは、技術分野で最もホットな話題の1つとなり、AIラボへの多額の投資や大手企業の事業運営を揺るがすきっかけとなっている。LLMは、類似の技術とともに「ジェネレーティブAI」という包括的な用語でまとめられることが多く、あらゆる種類の文字入力を受け取り、それをさまざまな方法で変換、翻訳、解釈することが出来る。
これに対し、Amazonのクラウドコンピューティング部門であるAmazon Web Services(AWS)は、企業が独自のチャットボットや画像生成サービス(OpenAIのDALL-Eなど)を開発できるように、新しいAI技術を設計した。OpenAIのモデルを支えるMicrosoftのAzureクラウドプラットフォームと同様に、Amazonは自社ブランドのジェネレーティブAIを実現するためのコンピューティングパワーを貸し出すことで、経済的な報酬を得ることができるのだ。
AWSが提供する「Bedrock」と名付けられたコアなサービスは、企業が自社のデータを使って「基盤モデル」をカスタマイズすることを可能にする。AIにおいて、基礎モデルとは、企業が構築するための出発点となるAIのコア技術だ。ファインチューニング(特定の目標に向けた追加学習)により、企業は独自のデータを取り込み、自社のニーズに合わせてモデルをカスタマイズすることが出来る。OpenAIは、カスタムチャットボットのためのモデルを微調整できる同様のサービスを提供している。
AmazonのCEOであるAndy Jassy氏は、CNBCのインタビューで、「ほとんどの企業は、こうした大規模な言語モデルを使いたいと思っていますが、本当に優れた言語モデルは、トレーニングに数十億ドルと何年もかかるので、ほとんどの企業はそうしたことをしたくありません。Amazonがやりたいのは、すでに大きくて素晴らしい基礎的なモデルを使って仕事をし、それを自分たちの目的のためにカスタマイズする能力を持っていることです。それがBedrockなのです」と、語っている。
顧客は、自分のデータでTitanのモデルをカスタマイズすることができる。しかし、そのデータはTitanのモデルのトレーニングに使われることはなく、競合他社を含む他の顧客がそのデータの恩恵を受けることはないとのことだ。
また、Titanモデルのサイズや、Amazonがトレーニングに使用したデータの特定についても明らかにされていない。
Bedrockは、Amazon Titanと総称されるAmazon独自のLLM基盤モデルと、サードパーティ企業のモデルを顧客に提供する。スタートアップのAI21 Labs、Anthropic、Stability AIは、Amazonのモデルと並行して自社のモデルを提供する予定だ。
ただし、Bedrockは、今のところ限定プレビューを開始しているため、Amazonはサービスのコストを開示していない。顧客はウェイティングリストに登録し、利用する事が出来るとのことだ。
Amazonによると、Bedrockサービスを提供する上で重要なことは、AWSの顧客が、これらの新しいAI技術を搭載したデータセンターのサーバーを管理せずにテストできるようにすることだという。これらのデータセンターは、コストのかかる投資だ。Amazonによると、Bedrockサービスの基盤となるサーバーは、アマゾンのカスタムAIチップ(AWS TrainiumとAWS Inferentia)と、現在AIチップの最大サプライヤーであるNvidiaのGPUを組み合わせて利用する予定だ。
また、Amazonは同日、GitHub CopilotやReplit Ghostwriterに似たAI搭載のコーディングアシスタント、Amazon CodeWhispererを個人での利用は無料で提供する事を発表している。
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