A16 Bionicは、Appleが初めてTSMCの4nmアーキテクチャで量産したカスタムシリコンであると同時に、アーキテクチャの変更も伴い、A15 Bionicとは顕著な違いがある。実際に両者の違いはどの程度あるのだろうか?今回、実際にチップを分解し、A15と比較した画像が公開され、その違いが明らかになった。
A16 Bionicのダイ面積がA15 Bionicより大きいのは、トランジスタ数の増加によるものか?
日本の研究解析調査会社テカナリエの清水氏が、自身のTwitterタイムライン上で共有したA16 Bionicのシリコンダイの動画を、Angstronomicsがキャプチャし、注釈を行い、A15 Bionicのダイショットと比較し公開している。
Appleの最新シリコンには、EverestとSawtoothと呼ばれる、それぞれ新しい高性能コア(Pコア)と高効率コア(Eコア)が採用されており、このチップセットはコードネーム「Crete」と呼ばれている。
ビデオクリップからダイ面積を決定する正確な方法はないが、Angstoronomicsでは、最新のSoCはA15 Bionicより大きいと述べている。
その理由の一つは、EコアのL2キャッシュサイズは、A16、A15ともに4MBと変更がないことが分かっていることから、キャッシュアレイの面積が従来と同程度と仮定し、相対的な面積の大まかなスケールを把握したとのことだ。
A16 BionicのPコアL2キャッシュは、A15 Bionicの12MBから16MBになり、33%増加しています。キャッシュサイズを大きくすることは、CPUとの情報伝達が密になるため、単純にエネルギー効率を向上させることができる。ただし、キャッシュサイズを大きくするとダイサイズが大きくなり、それがここでも顕著に表れ、当然のことながら製造コストが高くなるという欠点がある。キャッシュの規模が大きくなると、明らかに収穫は少なくなる。
ダイショットで意外な変化は、A16 BionicのSLC(System Level Cache)がA15 Bionicの32MBから24MBに減少していることだ。AppleはA15 BionicのSLCサイズをA14 Bionicと比較して2倍に増やしているが、Appleがなぜこのような動きをするのかについては、コスト的なものもあると感じるが、分析では述べられていない。しかし、A16ではLPDDR4X-4266(A11→A15)の5年間を経て、ようやくLPDDR5-6400に移行したことも注目される。このメモリ帯域の50%増は、SLCの容量が小さくなったことを相殺するのに十分である可能性がありそうだ。
今回、A16 BionicとA15 BionicでGPUコア数が変わらないこと以上に驚きなのは、その個々のサイズに変化がない点だ。iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxに搭載されたAppleの最新SoCは、顕著なグラフィックス性能を発揮し、先のテストではA15 BionicのGPUと比較して28%も向上しているだけに、この点は驚きだろう。
新しいPコアとEコアはそれほど顕著な改善は見られていない良い結果ではなく、マルチコアテストでは14パーセントの性能向上を得るにとどまった。AppleのAチップは、A16以前の3世代から、既にパフォーマンスの向上が横ばいになってきていることもあり、ムーアの法則の限界に近づいていることを表しているのかもしれない。今後、3nmプロセスに移行して、ダイサイズを大きくすることも考えられるが、これはコストの増加を意味する。そのため、Appleは恐らく次世代A17チップについても、今回同様iPhone 15 Proモデルに限定搭載する形になるのではないだろうか。
噂では、TSMCの3nmプロセスについて、Appleはまずは次期M2 ProとM2 Maxに使用して、2022年第4四半期のMacBook Proアップデートモデルを搭載する可能性が伝えられている。
Source
- Angstronomics: Apple A16 Die Analysis
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