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セラミックスは、狭義では陶器を示し、身近なところではトイレの便器などがイメージしやすいだろう。硬いが割れやすいこの素材は、温度変化を与えると割れたり砕けたりすると言うのがこれまでの常識だった。しかし、この度ノースイースタン大学の研究者達は、薄く複雑な形状に成形できる新しいタイプの“熱成形が可能な”セラミックスを開発したという。

この新しい素材は、実験室の事故から生まれ、まさに偶然の産物だ。

この研究の著者らは、昨年、産業応用の可能性を求めてホウ素ベースのセラミック化合物の実験に取り組んでおり、この材料を限界まで追い込んだような状態であった。

ノースイースタン大学の機械・産業工学科の教授であるランドール・エルブ氏(Randall Erb)氏は、「我々は、ブロートーチでセラミックを爆破し、それを装填している間に、それが不意に変形して固定具から落下しました。私たちは、失敗作だと思って床に落ちたサンプルを見たのです。しかし、それは完全に無傷だったのです。ただ、形が違うだけなのです。さらに何度か試してみると、変形をコントロールできることに気づきました。そして、圧縮成形を始めたところ、非常に速いプロセスであることがわかりました。」と述べている。

この材料の挙動は、セラミックの形成方法や耐性をめぐる従来の常識に反していた。これまでセラミックスは極端な温度変化を与えると、割れたり砕けたりする可能性が高かったが、このチームは文字通りブロートーチを当てて一体化させることができたのだ。

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熱成形可能なセラミックスを薄く複雑な形状に成形することができた (Image Credit: Matthew Modoono/Northeastern University)

「この素材はまさに“ユニーク”ですね。熱成形可能なセラミックスは、これまで見たり読んだりした限りでは、実際には存在しないのです。ですから、これは材料の新境地なのです。 」と、この研究の著者であるジェイソン・バイス(Jason Bice)氏は述べている。さらに、この材料を調べたところ、熱を素早く伝えることができる微細構造が浮かび上がってきた。また、熱可塑性ポリマーやシートメタルによく見られる成形や熱成形の際に、機械的強度と熱伝導性を維持したまま、複雑な形状に成形できることもわかった。

高密度の電子機器を冷却する

この新製品は、2つの産業改善をもたらす可能性がある。1つは、高密度電子機器の冷却が可能な熱伝導体としての効率である。

スマートフォンなどの電子機器には、本体から熱を逃がすために厚いアルミニウムの層が形成されているのが一般的だ。

「私たちの素材は厚さ1ミリ以下なので、薄型のソリューションになります。冷却しようとする表面に適合するように成形することができるのです。」とバイス氏は述べている。

エルブ氏によると、フォノニック結晶ベースのセラミックは、電子輸送を行わずに熱を移動させることができるそうだ。他のシステムや、電話で使用される無線周波数(RF)とも相互作用しない。

「RF部品にアルミニウムのヒートシンクを付けると、基本的にRF信号と相互作用する一連のアンテナを導入することになります。その代わり、窒化ホウ素ベースの材料をRFコンポーネントの中や周囲に置くことができますし、それは基本的にRF信号から見えないのです。」とエルブ氏は述べている。

彼らは、このオールセラミック材料を、さまざまな電気部品に適合するように成形できると考えている。このセラミックは、現在の金属よりも薄く、軽く、効率的なものになるだろう。

研究の要旨

従来、熱可塑性ポリマーやシートメタルに限られていた熱成形加工を、ホウ素系オールセラミックスに拡張した。具体的には、振動とテープキャスティングを組み合わせた光重合プロセスによって製造された窒化ホウ素焼結複合板は、高配向性の微細構造を有し、圧縮成形時に粘性のビンガム擬塑性を有するプリフォームシートとして流動させることができる。この焼結オールセラミックプリフォームは、200μmまでの薄くて複雑な部品に熱成形される。さらに、新しいワークフローを活用して、プリント回路基板に圧入できる特注のオールセラミック・ヒートスプレッダーを製作し、薄型の熱管理ソリューションとして金属ヒートシンクを凌駕している。この研究は、高度に整列した異方性微細構造を持つプリフォームを最初に作製することにより、熱成形可能な他のオールセラミックスのためのルートを提供する。

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