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ドイツの新興企業CeraByteは、以前発表していたガラスシートにコーティングされた厚さわずか50~100原子のセラミックナノ層からなる新しいストレージ媒体に、レーザーでQRコードをエッチングする新しいストレージ技術の開発に取り組んでいる。

この新しい技術は、長期ストレージ業界に革命をもたらす可能性があり、10PB~100PBを保存するCeraMemoryカートリッジ(2025-30)と、テープ1本あたり最大1エクサバイトの容量を持つCeraTape(2030-35)という前代未聞のストレージ密度を提供する。同社はまた、この新しいストレージは-270度から300度までの温度で5,000年間データを保持できるとしている。現在、同社はこの技術が実際に使われていることを示す新しいデモ・システムを公開している。

CeraByteの新しいストレージ技術は、火災、洪水、電気サージ、急激な温度低下、その他の環境脅威に対して完全に耐性があると主張しており、将来的には理想的な長期ストレージ・ソリューションになる可能性がある。

このストレージ・ソリューションは、50~100原子厚の無機ナノセラミック・ガラス層を利用したセラミック・ベースの技術で作られている。データはQRコードのようなデットで保存され、レーザーパルスでガラス層にエッチングされる。レーザーは各層に穴を開け、穴は2進数の0を表し、操作されていない残りのガラスは1を表す。

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CeraByteのガラス・キャリア上のセラミック層に書き込まれたQRパターン・データブロック (Credit: CeraByte)

CeraByteは、既製の部品で作られたセラミック・ストレージ・システムの実用的なプロトタイプを披露した。ビデオでは、このシステムが以前から想定されていたように動作する様子が映し出されている。ライブラリ・ラックのセットと、ストレージへのアクセス性を確保するための1つのリードライト・ラックが付属している。アクセシビリティの段階では、カートリッジがロボットによってライブラリ・ラックから取り出され、読み書きラックのプラットフォームまたはステージに移される。そこでステージは、カートリッジ上のセラミック層にデータを読み書きするレーザーの前で前進または後退する。前進は書き込みのためで、前進と後退はカートリッジからデータを読み取るために使われる。

CeraByteは、複数のセラミック層が1つのデータ・カートリッジ(ハードディスク・ドライブと同様)の中に格納されるストレージ・システムを構想している。各データ・カートリッジは、長期保存用のストレージ・ラックに収納され、ストレージ・アクセスのためにロボットが各データ・カートリッジを書き込み・読み取り用ラックに吊り上げる必要がある。この設計は、大企業が長期保存用に現在一般的に使用しているテープ・ライブラリーに非常によく似ているが、この場合、テープ・ドライブはセラミック・コーティングされたガラス・カートリッジに置き換えられる。

CeraByteの新しいストレージ・アーキテクチャの特長は、その耐久性と信頼性にある。同社によれば、ガラスキャリアは実質的に5000年以上の耐久性があり、火災、水、放射線、電磁パルス、その他テープやHDD、SSDにダメージを与えるあらゆる環境影響に耐える。また、テープ・ドライブのように再シルバー処理をする必要がないため、長期的な有用性がさらに高まる。これらの性能は、長期保存用に設計されたシステムには非常に魅力的である。CeraByteがセラミック・ストレージ・ソリューションを軌道に乗せることができれば、テープ・ドライブに代わる信頼性の高い長期ストレージ・ソリューションを探している大企業をあっという間に引きつけることができるだろう。

同様に、ガラス板にデータ保存を行う技術の開発を進めているMicrosoftと共に、今後この分野の技術革新が進んでいくことが期待される。


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